Blueyシーズン2

というわけで続けてシーズン2も一通り見た。シーズン1よりもストーリー、キャラクター共にこなれてきていて面白いエピソードが多い気がする。大人から見たオールタイムベストとして名高いBaby Raceもシーズン2。でもまあ基本的には子供向けの番組なんだけどね。

印象に残ったエピソードをいくつか。ちなみにDisney+で見ているので番組の話数番号はそちら準拠。シーズン2ではDad Babyの回がDisneyの意向でハブられているので後半で話数がずれてます。Dad BabyはYoutubeでは見られるし、banする理由はそこまではよくわからないけどまあいいです。

1. Hammerbarn

お隣がピザ窯を買ったのに触発されてピザ窯を買いに行く話。買い物の過程でBlueyとBingoがケンカをして……という話の展開は面白いけどまぁ普通かも。でも最後にBanditとLuckyのパパが無言でハイタッチするところが好きなんだよな。

3. Dance Mode

このエピソード大好き。”inside voice”というキーワードの使い方、Dance Modeという馬鹿げた遊び、妙に面白いYes/Noボタン(これあとの話でもちょっとだけ出てくる)、こうした話が最後の最後に昇華されて最後のシーンに結びつく。よくできた話だし、dadのparentingのいい面と悪い面がどちらも出てきているのがよくできている。ただ最後には報われるとはいえBingoは可哀想。

5. Charades

Muffin大暴れの回。最後にSocksで〆るオチがよくできているんだよなぁ。

6. Bingo

オープニングが違う! 自分そういうのに弱いのです。エピソード自体はまあ普通かなという感じだけど、Bingoの活躍がいい感じにまとまっていて良い。全体的にBingoが割りを食って可哀想なエピソードがシーズン2には多かった気がするが(Dance Mode, Handstandなど)、おかげでBingoが活躍するエピソードは採点甘めになります。

8. Daddy Dropoff

こういう彼らが大きくなった後、みたいなのの描写にも弱い。Banditがdropoffするだけという単純な話だがそれがいいんだよな。

9. Sleepytime

Bingoが見る夢の世界の話。寝てる現実とリンクしつつ壮大で美しい宇宙に魅了される。

18. Escape

おばあちゃんの家まで送られていく途中で話していくうちに話が脱線に脱線が重なり、子供っぽい世界観のドタバタになっていく。ほぼ子供の絵のテイストで描かれているのもいい。最後のオチも綺麗にまとまっていて良かった。

25. Double Babysitter / 26. Christmas Swim

Christmas Swimは何度か見てたけどDouble Babysitterはあんまりちゃんと見たことなかったので、この2話が連続の話数で、話として繋がっていたのを知らなかった! FriskyとUncle RadはDouble Babysitterで初登場で、その時は初対面だったのね。ダブルブッキングで初対面の二人がBlueyとBingoのベビーシッターをするのがDouble Babysitterで、Blueyに「なんで結婚してないの?」「true loveはどうなったの?」と質問責めにあってこまったりしている。最後に二人でちょっといい感じになるといういい結末だなと思って次の話になると、二人はもう完全に付き合ってて一緒にバリに旅行に行ってる! I’m new to the Heeler family tooとか言ってるし。まあ普通に見てたらフーンとなる繋がりなんだが知らなかったので良かったです。

27. See Saw

シーソーで遊んでいるとdadが来て遊びを妨害してくる……という話。どんどん友達が増えてきてエスカレートしていく面白さと、最後にpom-pomのおかげで勝てるという展開がやっぱり好ましく思える。いやこういう話としてはよくあるわけだが、でもいいよね。

28. Movies

映画館で映画をみる話。一部では嫌う人もいるみたい。こういう場でドタバタってのは迷惑なのでまあわかる。でも、子供って映画の割となんでもないシーンが怖かったりして嫌になったりしてしまうのが実際に我が子でもあるのだけど、そういうのを描いているのも良かったし、映画のセリフとシンクロしたり、映画の緊迫シーンや解決とエピソードの解決をリンクさせているのも個人的には好きです。

29. Grandad

体の具合が悪いというおじいちゃんちに遊びに行くと……という話。普段とは全く違う超アクティブで機敏で強そうなChilliがとてもいい。ラストシーンはむしろ自分はジジイ側に感情移入してグッときてしまう。

32. Bin Night

ゴミ回収日の前夜、家の前の通りにゴミ箱を出しに行くというシーンだけで構成されたエピソード。そのわずかな時間でのちょっとした会話、次の週のまたちょっとした会話、みたいなのが積み重なって全体的なストーリーが描かれるところが良い。

33. Ice Cream

アイスクリームを食べたい子供たち。お互いのアイスを食べたくてクルクル回って踊り始めるところがやっぱり良い。

35. the Quiet Game

BlueyとBingoがいつものように大騒ぎをしているので、どれだけずっと黙っていられるかを競うQuiet gameをdadが提案するが……というドタバタ。もちろん、dadはBlueyとBingoに話してもらわないといけない状況に陥ってしまって苦戦するわけで、めちゃくちゃ笑った。唐突に登場する「今日が初出勤日の店員」さんが良い味を出している。

37. Cafe

Blueyが公園で一人で遊んでいると、知らない子が来て一緒に遊ぼうといい、カフェの遊びを始める。何度かそれが続いて……という話だけど、「人はいつ友達になるか」というテーマがいい。子供は一瞬で仲良くなり、友達になるが、大人である親同士はお互いよくわからんなと思っていたりする。

39. Muffin Cone

親指しゃぶりをやめられないMuffinがエリザベスカラーをつけられてしまうというくだりが好きで。最終的にポジティブになって終わるところが良い。

41. Road Trip

これも良いエピソードだと思う。キャンプにいくドライブの途中。BlueyとBingoは完全に退屈してしまう。タブレットは出てこない。しかも、妙にノロノロな人たちの後についてしまうといいスポットが取られてしまうから急ぎたいdadと、そんな事情とお構いなしにあれこれ起こるちょっとしたトラブル。そして結局Big Peanutに行き着くというオチも良い。

46. Octopus

Banditとタコの遊びをしているChloeがうちに帰って父に同じ遊びをしてとせがむが……という話。Bluey全体を通しての話だが、父親である自分目線では、Banditは親としてそれどうなのとはたから見て思う面もありつつ(Obstacle Courseなど)、やっぱり子供と一緒に遊んで、子供のルールで楽しませてあげるのがうまいよなあ、といった感想を持っている。Octopusの遊びもよくやるよ、こんなのなかなかできないよな……と思っているとやっぱりChloeの父もBanditのようにはできなくてギクシャクしてしまうわけで、そこについ過剰に感情移入してしまう。というかそういうふうにこのエピソードが作られているわけで、まあよくできています。オチも綺麗にまとまっている。

47. Baby Race

r/blueyなどでのオールタイムベスト常連。Blueyが赤ちゃんの頃、早くハイハイできるようになったり歩けるようになったりというのでヤキモキするという回で、一応話の構造としてはBlueyに話聞かせるという構造にはなっているのだけど、まあ完全に親向けの話。子供向け番組でそれはどうなのか?とは思うんだけど、しかし人の子の親になってしまうとやっぱりこういう話はグッときてしまうんだよな。You’re doing great.のシーンは何度見てもちょっと涙ぐんでしまう。最後もねえ、盛り上がっちゃうよね。自分の思い出と重ねてしまってさ。あと初見では気づかなかったけどBanditがすげえ寝不足な感じなのがリアルで良。

51. Easter

イースター回。でも普通にイースターエッグを探すのではなくて、家のあちこちに隠されたちょっとしたパズルをBlueyとBingoの二人で協力して解いて行って、そしたらまた次のパズルが出てきて……という回。こんなのできたらそりゃ楽しいよなあ。いいエピソードだし、シーズンフィナーレにぴったりのエピソードでしょう。


ところで、全体的にBingoが可哀想なエピソードがいくつかあって気になった。Dance Modeもそうだが、44話Handstandはちょっと見てて悲しくなってしまった。いろんなことがあちこちで起こってだんだんカオスになっていくみたいな構造は好きなんだけどね……。

Blueyのシーズン1を全話見た

子供ができてから色々子供向けの番組を眺めたりするようになったが、中でもBlueyは(親である私の)お気に入り。明らかに大人向けなエピソードもあったり、子供にはまだわからないような含意があるエピソードも多いし、親に感情移入してparentingとして楽しむのもある。Redditのr/blueyもjoinして見てる。

が、子供がBlueyを見たい、と言って見る時には、大体いくつかの限られたエピソードだけしか見たがらないので、それ以外はほぼ見たことないエピソードが多い。他の話がどういうものなのか正直気になってきた。r/blueyで(親に)人気のエピソードとかの中でも見たことがないやつがあるのも気に掛かる。

というわけで一念発起して「Blueyのエピソード全部見る」プロジェクトを始めることにした。で手始めにシーズン1を全部見た(ただし、もう繰り返し見ていて見直さなくてもいいかなと思ったやつはスキップしている)。

気に入ったエピソードをいくつか列挙しておく。

5. Shadowlands

影のところだけしか歩けないゲームをする子供達の話だけど、「どうしてゲームではルールを守らないといけないのか」「ルールを少しは曲げてもいいんじゃないか」というテーマがうまく機能している。クライマックスが鮮やかでいい。ダックスフントのSnickersが足が短くてジャンプできる距離が短いみたいな描写も好み。

8. Fruit Bat

このエピソードは繰り返し見ているけど名編と思う。夜寝れなくて夜行性のFruit Batを羨ましがるという他愛のないエピソードであるが、夢と現実が交錯するところや夢の中でFruit Batになって飛び回る描写が素晴らしい。オチもとてもいい。

11. Bike

タイトルはBikeだけどBike(自転車)はあんまり関係ないエピソード。公園でBlueyが自転車に乗る練習をしているがうまくいかない。それでふと目を向けるといろんな子が公園でいろんな難しさに出会うところを目撃する……。いい話だし、親目線だと子供に見てほしくなる話である。まあ子供にとってはそんな部分は知ったこっちゃないのだが。

14. Take Away

中華料理屋でテイクアウトを頼んで注文するものが出てくるまでのドタバタを描くエピソード。子供の相手とドタバタがどんどんエスカレートしていくところが面白い。

17. Calypso

Blueyの幼稚園(小学校?)でのエピソード。子供達がいくつかのグループでてんでバラバラに遊んでいるのが描写されるだけだが、それが最後にいい具合に繋がってオチになるところが気持ちいい。あとテリアたちが可愛い。それにしても保育園の先生とかマジで毎日こういう感じで大変なんだろうな。

26. The Beach

浜辺でのひと時。傍目には大したことないけれど本人にとっては一大事のような何かの描写がとてもいい。

28. Grannies

BlueyとBingoで「おばあちゃんはflossを踊れるか」という疑問から一悶着。おばあちゃんNana初登場回かな。”Do you want to be right? Or, do you want Bingo to keep playing?” というふうに聞くところがいいなあ。そこで “Can I have both?” と返すところでクスリとするわけだけど。オチもハッピーでいい。

30. Fairies

Blueyは基本的には超現実的なことは起きないけれど、たまに真剣に遊んでいるのか実は超自然現象が起きているのかちょっとわからなくなるエピソードがある(Magic Xilophoneとか、Featherwandとか)。でもこれはかなり明らかに超現実的な現象が起きているように思われる(が、全ては心理描写でこれも家族みんなで遊んでいるという解釈は成り立つ)。そこがいい。

32. Bumpy and the Wise Old Wolfhound

入院中のBingoへのビデオメッセージ。Bluey制作の演劇が披露されるというエピソード。Bingoのためのストーリーがよくできていたり、ご近所さんも総出で制作されていたり、全然演技できないMuffinが壺を壊したり、といった見どころが多くて面白い。ちゃんといい話になって終わるのも良い。

43. Camping

オールタイムベストにもしばしば挙げられる名編。キャンプに来たBlueyはフランス語しか喋れない子供と仲良くなるが……というストーリーで、見ていると本当に心が温まる。1話丸ごとJean-Lucとその家族はフランス語しか喋らず、何を言っているかはほとんどの視聴者にも正確にはわからない(大体はわかるけど)。それで話が成立しているのがいい。そしてラストシーンに涙。

46. Chickenrat

寝る時間になって大切なぬいぐるみがなくなってしまったのでこれまでの行動を振り返ることでどこにぬいぐるみを置いたか思い出す、という筋立てのストーリー。だけど、冒頭時点でなんだかよくわからない状況になっているのがどうしてそこに至ったかというのが、この「一つ前に何をやったかを思い出す」過程で次第に明らかになっていくというのが良い。類似の話だと、学校で遊んでいる時の子供達の諍いを調停して話を聞き出す第40話Early Babyもあり、そちらも良かった。

The Wonderful Wizard of Oz

ある時突然、そういえば『オズの魔法使い』ってちゃんと読んだことないな、ということに気づいた。子供の頃に絵本か何かで読んだことはあるし、大雑把なあらすじはもちろん知っている。でも読んだのはごく簡略化された抄訳のような絵本なので、本格的な中身は知らないし、そもそも昔すぎて絵本に書かれていたとしても記憶していない細部がたくさんありそう。

というわけでふと思い立って読んでみた。せっかくなので紙の本。子がもう少し大きくなったら読んでみてほしいような気がしたので。小学校低学年ぐらいで読めるかな。どうかな。

読んでみたところやはり全然知らないエピソードが多くて割と楽しめた。あと例えばオズの魔法使いの正体が判明してから後の話が意外と長いのも知らなかった・記憶していなかったな。逆に西の悪い魔女との対決のくだりとか、めちゃくちゃあっさりしておりすぐ終わるなど全体的に展開がはやい。まあ児童文学というのはそういうものかもしれない。こういう話であったか、という不思議な感慨があった。

児童文学なので英語としては簡単で、そういう意味でもすぐ読めるが、古い話なので単語や言い回しが古臭く、たまに知らない単語が出てきたりもした。

V林田『麻雀漫画50年史』

V氏の『麻雀漫画50年史』が気がついたらkindle版が出てたのでちまちま読んでたのだけど、ようやく最後まで読んだ。いやあ面白いもんです。

とにかく全方面にわたって詳細で、分量も多く情報量が多く、著者の熱量が高い。様々な当事者たちにも実際に話を聞いていてまとめている大変な労作でもある。全体的な流れも抑えつつ、雑誌の勃興や発展、終焉なども追い、作者や作品単位でも個別にピックアップして紹介をしていてとにかくすごい。メジャー作や王道的な作品からトンチキな珍品まで紹介しているのもすごい。

それでいて、50年を通して核となる何か、みたいなものは全くない本でもある。これは著者のポリシーとしてあえてそうしているという話であり、前書きでも後書きでも強調されている。だからと言ってプレーンな語り口ということはなく、著者が偏愛するタイプの漫画とそうでない漫画では文章がまるで違ったりするが、それはそれとして全体を通した視座みたいなものは特にない。そういうのを求める層には向かない本だろうとは思う。では誰に向いている本かというと……よくわからない。だが、読んで面白いのは間違いない。膨大な作品が紹介されており、そのリアルタイム世代には色々と思い入れのある読み方もできたりみたいな楽しみ方はあったりするのかも。

そして読めば読むほどに実感したのが、自分は本当に麻雀に全然興味がないなあ、ということだった。もちろん麻雀をやったことはあるけど、ほぼ何も知らないし全く興味がないレベル。なので麻雀漫画も全く読まないというわけでもないが、読んでもストーリーとかはともかく実際の対局シーンの中身はそれほどというか全然興味が持てないんだよな。多分麻雀漫画を楽しむための基礎みたいなものがない。「酵素がない」というやつ?である。なので「昔の麻雀漫画は、実際に打つことができなかった時の代償行為」みたいな本書の話は目から鱗で、そんな楽しみ方もあったものなのかとびっくりもした。

そんな自分でも本書は読んで面白いのであるけれど、麻雀漫画に興味ある人が読むべき本かなと思います。

notebookLMのポッドキャストにも論文を解説してもらう

misreading.chatというポッドキャストをたまにやっている。森田さんと二人、毎回どちらかが何らかの論文を読んできて紹介するというポッドキャストだが、性懲りもなく続けている。

さてGoogleのnotebookLMに、アップロードしたドキュメントをベースにしてポッドキャストベースの音声対話を自動合成してくれるという機能が最近入った、というのはmisreading.chatでも冒頭で話されたことがあった。

それで自分の回の論文でも話してもらってどんなものか見てみますか、といっぺんやってみることにした。題材はこないだ公開された GSM-Symbolic という論文だ。

音声はこちら。

https://notebooklm.google.com/notebook/bb23e1ac-d4bb-4cb4-beea-02adbe5a05cd/audio

20分ほどで手際よく解説されている。終盤、そんなこと書いてあったかな、conclusionsの部分の適当に読んでた部分をかなり丁寧に拾ってる感じかな、と思うが、全体的によくまとまっている。わかりやすい。バランスの取れた感じなのも好感が持てる。翻って自分のは……センセーショナルな部分を取り上げ過ぎか、という気もするが、自分の興味のある部分を重点的に解説していたな、とも思える。一方、例えばGSM-Symbolicの具体的な構造や、個別の問題がどのように改変されるのかといった例などは自分は興味深く思ってるので詳しく話したつもりだけど、AI要約ではごく簡単な言及で済まされていたり具体例には乏しかったりしているような気がする。実際そういう話は要約としては不要なのは確かなのだが、結果として、AI側はややふわっとした内容になってしまっているような気もする。

それにしてもLLMの能力の(ある種の)限界について論じた論文をLLMにトークしてもらうというのは何というかこう……入り組んだ何かだな、という気がして興味深い。まあいいです。

もう一個べつなネタとして、少々前だがCVMアルゴリズムというストリーム内の要素の種類の数を概算する確率的アルゴリズムの回を与えてみた。この回はメインの論文とKnuthの解説記事を両方与えて生成している。

https://notebooklm.google.com/notebook/f80dc7a8-2ef5-4ef7-8341-3aeed7b8f622/audio

これも確かによくまとまっているし、内容を的確に要約している。しているが……アルゴリズムの具体的な話も、証明の概略も、特にあんまり説明されていない。このアルゴリズムのキモはなんなのか、という話もなくて、全体的にふわっとしている印象がより強まっている。気がする。

というわけで、機能としては本当に素晴らしいのだけど、自分たちのポッドキャストの競合なのか?というとよくわからないな、という気もしてきた。もちろん、もうすこし微調整ができたりするとこの辺はどうにでも変化しうる気もするし、現状でもかなりポッドキャスターとしては脅威という気もするけど、やっぱそれとはすこし違う何かなんだろうなというふうに思った方が適切な気もしてきました。

そもそもAIに要約してもらう時にポッドキャストの形態で教えてもらいたいものなんだろうか? 実験プロジェクトなのでそういうことをいうのも変だし、論文紹介ポッドキャストをやっている身でいうのも何だが、あんまり実際のニーズはなさそうではある。なさそうではあるが、生成物は大変興味深いので面白いんだよなぁ。

Wordle今でもやっている

Wordle、今でも毎日やってる。Max Streakがいまだに60ぐらいだし勝率も96%ぐらいしかないけど。

ちょっと飽きかけた時期があったんだけど、そのころにCracking the crypticというyoutubeチャンネルを教えてもらってまた継続するようになった。このチャンネルは主に数独(に追加ルールを入れたような難解なやつ)を解いたりするような動画をあげてるチャンネルなんだけど、shortで “Wordle in a minute” というシリーズをやっている。チャンネルホストの一人のMarkはThe Times Crossword Championshipの12回優勝経験ありという触れ込みで、そのMarkが豊富なごいでサクサクとWordleを解いていくのは小気味よく、面白い(翌日になってから公開されているのでネタバレはない)。自分で解いているとあの難しかったものがこうもあっさり解かれるものかとも思うし、hard mode特有の罠をいかに回避するかとか、作戦の立て方も見ていて面白い。シリーズ自体にも謎のエコシステムが育ちつつあり、正解がどれぐらい難しかったかの統計情報をコメントする奴とか、回答で使われた単語で文章を作る人、あとMarkはテーマを決めて毎日違う単語で始めているのだが、そのテーマを推測して翌日の単語を予測する奴もいる。もはやこれを見るためにWordleをやってるまである。

……と思っていたのだが、それでも最近やっぱり飽きてきた。自分のopening wordは最初はshirtで、それからstareにして、最近はplateだったけど、何にしてもopening wordが固定だと、このパターンの時は2番目の単語は大体これ、みたいな流れが確立されてきてしまう。たまにはopening wordを変えたらいいんだけどどうしようかなー……という感じ。

それで最近は自分も Wordle in a minute でのMarkのopening wordを使うことにしてみた。上述のように翌日のopening wordを予測してる人がいるので、それに従っている。opening wordを変えると展開がマンネリ化しないので面白い。勝率は下がるだろうが、そこにはこだわりはないので大丈夫。もうしばらくはこれで行こうかなと思っている。

何もしてないのにMacbookが壊れたので

確か2021年にM1 proのMacbook Proを買った。14インチのモデル。それを個人用として使ってたんだけど、ある日電源だか充電だか(?)の部分が壊れた。現象としては、なんか充電ができなくなった。

相変わらず電池の持ちがいいので普段からこまめに充電しているという感じではなかったんだけど、ある日なんか電池が減ってるな、ということに気づいて充電ケーブルを繋いだところ、充電されない。普段はUSB-Cのケーブルを使って充電しているけど、何か変だ。携帯電話に繋いでみたら普通に充電できるので、ケーブルの問題とは考えづらい。

そこでMag-safeのケーブルを引っ張り出してきて繋いだところ、どうも怪しい状態になる。OS上の電池・充電表示では充電されていないが、一応Mag-safeケーブルの方ではランプがオレンジになっていて充電している(?)状態になっている。それでそのまま一晩放置してみることにした。そして翌朝確認したところ、まったく充電されていない。まずい。

色々試してみたところ、OSをシャットダウンして電源オフ状態にしてMag-safeケーブルで充電すると、非常に遅いながらも充電ができる、ということがわかった。ただし丸一晩充電して17%から90%くらいまでしか充電できない。なんらかの故障で充電するための機能が部分的に壊れたんだと思う。充電するための電力供給が非常に少なくなっていて、OSが動作していたりUSB-Cとかでは供給量が少なすぎて充電状態にならないのだろう。

相変わらず電池の持ちは悪くはないので、数日に一回充電すれば全く使えないということはないのだが、普通に壊れたわけだし不便なので、ひとまずハードウェアサポートに連絡してみた。AppleCareには加入しなかったのでwarrantyの範囲外になるが、サポートは受けられる。ジーニアスバーかなと思ったが、それと別に近所に公式に提携したハードウェアサポートの窓口があったのでそこで調べてもらった。

二日ほどかかって、確かに充電できないのでロジックボードを交換する、という話になった。交換費用は$840。

$840はかなりの額だし、それできちんと直るのか、データのロスはあるのかとか不安もあるし、それだったら新しいの買うわ、と思って一旦そこで引き下がった。それで調べて、結局M3 Macbook Airに乗り換えることにした。カスタマイズした結果として$1300くらいになり、元の修理費用が$840と比べたら割と高くついたが、まあありかなというぐらいの微妙な値段だ。

Apple StoreではMacbookでもトレードインプログラムがあるみたいで、壊れたM1 Macbook Proは一応トレードインしてみることにした(持っててもしょうがないし)。ストアの自動見積もりではトレードイン価格は$750ほどになった。なんといっても画面はつくし、目立った傷とか不具合もない。充電が(ほぼ)できない、ということは評価項目にはないので。そんなに帰ってくるとだいぶ楽になるなーと思いながら買った。

ただ結果としては充電できないということは普通バレて(あるいは公式サポートなので情報がデータベースに残っていたとかで)、トレードイン価格はゼロ、なくなってしまった。画面は普通につくしハードウェア的な瑕疵がないのにゼロになっちゃうのはちょっと理不尽だなーと思わなくもないが、まあ仕方ない。

14インチMacbook Proから13インチMacbook Airになったが、不満は特に感じない。私用では特にすごい計算を(最近は)してないし、画面は多少小さくなったがそれほど問題でもない。むしろリビングで雑に使っているので、結構軽くなって取り回しが楽になったのはよかったかもしれない。

まあ3年ぐらい使って買い替え時期だったのだろうなと思うことにしている。それにしても見たことない故障だった。

車のフロントグラスが割れた

こないだタホ湖に遊びにいった。夏のタホ、2年前とかに初めていって2回目だけどいいもんですね。行く前はスキーリゾートに夏行ってどうするのかという気持ちだったけど、湖が綺麗で水遊びもできるし、好きならハイキングもできる。結構人は多いのでそういうのが面倒ならもう少し山側に行くと人も少なくて良い。キャンプをしてる人もいるし、自転車を楽しむ人もいる。意外といいものです。

それはさておき、滞在中のある日、朝起きてふとみると車のフロントグラスが見事に割れていてビビった。

滞在先は屋根のないオープンエアな駐車場に車を停めていたわけだけど、日差しで暑くなるのもちょっと嫌かなと思って木陰のスロットに停めることにした。駐車場には20m以上はあるだろう高い木がそこそこ生えていて、その脇なら木陰で暑くなりすぎない。だがどうやらその日の夜に自分の車の脇の木から、まだ若く重みのある松ぼっくりが落下して、それがフロントグラスに激突したのだと思われる。幸いにして助手席側だけど蜘蛛の巣状のヒビがかなり大きく入っている。まじかって感じ。

ここまですごい割れ方をするのは珍しいだろうが、車のフロントグラスにヒビがはいるということはないでもないらしい。走行中に小石などが跳ねてぶつかるのが多いという。そういう小規模のヒビでも放置しているとさまざまな条件(走行中の細かい振動や昼夜の寒暖差など)でヒビが成長して問題になるので対処が必要なのだという。調べるとアメリカでは小規模なものなら修理キットみたいなものが買えて、レジンを埋めるような形で損傷を埋め、ヒビの成長を抑えることができるようだ。が、今回の損傷はそんなので修復できるレベルではないものだ。多分フロントグラスは交換しないといけない。でも今は旅先で、帰るには4時間以上運転しないといけない。どうしよう。

色々考えた結果、まず小規模なヒビを修復する修復キットを買ってきた。レジンの量は全然たりないが、大規模そうなヒビのあたりにレジンを塗りたくった。それでもあんまり足りなかったので、近くのスーパーで大きめのセロハンテープを買ってきてヒビの上から貼ることにした。こういうのは、とにかく帰宅するまでヒビが大きく成長したり問題が起きないようにするための応急処置のつもりでやった。運転席の直進方向の視界にはヒビは(ほとんど)ないので、運転はできる。あと時節柄雨が降ったりしなかったのでワイパーを動かす必要がなかったのは良かった(ワイパーがヒビに干渉して酷いことが起きることは容易に想像されたので)。これでヒビ割れのまま休暇を過ごし、帰り道では無茶な運転は控えてそれほどスピードを出さずに運転し、無事に帰宅できた。といってもまあ応急処置に意味があったのかはあんまりわからない。たかが数日だし、何もしなくてもそんなに急にヒビが大きくなったりはしないような気もする。気休めというか気のせいというかやった気持ちになるための何か、という気もする。

さて帰宅後に車の保険会社に連絡してフロントグラスの交換処置をしてもらうことにした。保険会社にクレームを作ると、保険会社がお勧めする地元の修理業者が色々紹介されるので、うちから近場の一つを選んで予約をする。この辺はスムーズに進んだ。と言ってもなぜか予約システムは連動していないので自分で電話をしないといけなかったけど……と電話をしてみると「ああ、これはあなただけじゃないんだけどね、うちはガラスの修理はやってないんだよ。なんで保険会社のリストに入ってるか知りようもないんだけど、他を当たってね」といった返事であった。おいどうなっているんだ。

保険会社からはシステム上は連携が取れていて修理業者に見積もりが届いていることになっている。なのでそうと言われても修理業者を変えるならシステム上でまず変更しないといけない。が、UIからはなぜか変更ができない。どうなっているんだ。

仕方ないのでサポートに「業者を変更したいができない」とレポートを送ると、サポートからメッセージがきて「変えられるようにしておきました」という。それリロードしてもう一度見てみると、確かに変更可能なUIになっているので、今度は多少遠くてもいいのでリストの一番上を選ぶことにした。それで選び、電話をかけると……「いやうちも衝突事故とかの修理で、ガラス交換はやってないんだよね」と言う。どうなっているんだ。

仕方ないので(またUIからは変更できなくなっていたのでサポートにメッセージを送って再度変更可能なUIにしてもらい)再度業者を変更。今度は事前に検索などをして車のガラス交換業者であることを確認して選んで、それで予約ができた。それからの手続きはスムーズで、そのまま電話した翌日に無事修理となった。こちらが出向く必要もなく、向こうが来てくれて自宅で交換してくれた。保険が効くので自己負担額は$500ほどであった。

ちなみに余談であるが、2個目に予約した業者からは後で電話がかかってきた。その会話で分かったこととして、そこはどうも同じ住所をシェアして複数の業者が入居しているような工場というか作業所みたいなところのようで、自分がかけた先は本来とは違う業者だったようであった。うちに替えてくれたら割引で自己負担額$400で請け負うよ、という謎の割引交渉をされたが、もう予約も済ませてしまったし面倒なので断った。

松ぼっくりでガラスが割れるというのがどれぐらいよくあることなのかはよくわからないが、アメリカの自然側のところに旅行をしたら、あり得ない被害というほどレアではないだろうと思う。交換作業をしてくれた人も、「ああ松ぼっくりね。あるある。俺も経験あるよ」みたいな感じであった。木から落ちるような松ぼっくりは普通、完全に開いて茶色でカラカラに乾燥していて軽いが、確かにたまに緑色で開いておらずずっしりと重いものが道端に落ちていたりする。松ぼっくり自体も日本のよくあるそれよりは数倍大きいので、これがあの高さから落ちてきたらそりゃあガラス割れるわという感じである。人の頭に当たったら結構深刻な怪我になったりするんじゃないか。滅多に起きることではないだろうが。

しかし災難であった。全く自分のせいではないと思うんだけど、これで保険料上がったりするのかなぁ。それだけが心配です。

Min Jin Lee “Pachinko”

Min Jin Leeの “Pachinko” 今更ながら読んだ。英語で。感想を書くのは難しいが面白かった。

テーマがテーマなのでやっぱり日本人として読むと色々思うところはあるが、それも含めて面白い。重層的な描かれ方がされており、わかりやすい苦労話・恨み節とかでもなく良い描かれ方をしていると思った。読んでいて想像していたのと全く異なるラストシーンと話の閉じ方も良かった。

すでに翻訳が出ている本なので日本人がわざわざ英語で読む必然性は薄いのだけど、ところどころに登場する日本語のフレーズがちょっと微妙にヘンだったりして(特に maji? の使い方とか)味わいがある。いや貶したいわけではないし間違ってるとも言えないのだけど、この文脈のこの会話でこの単語がこんなふうに出てくるかなぁみたいな味わいであり、これはまあ日本語がわかる人が英語で読んでこそ味わえるものだと思うので個人的には英語で読めて良かった。

まあ全体的に何を書いても今更ですが、今更でも読んどいて良かったです。

訳される地名

この記事読みました。面白かった。

https://dailyportalz.jp/kiji/chugokugo-hyouki-kakkoii-ekimei

それで思い出したけど、私の今住んでいるカリフォルニア州マウンテンビュー市というのも、中国語では山景城という、という話があってなんかかっこいいなと思っていたのだ。

アメリカの地名は中国語ではたいてい音訳だが(例えばアメリカが美利堅だったりするような)、たまにこの「山景城」のような、なんと言うのか知らないけど翻訳地名というようなものがあって面白い。マウンテンビューもそうだし、サンフランシスコベイエリアの他の地名で言うと例えばレッドウッドシティ(Redwood City)もそうで、紅木城と言うようだ。ユニオンシティ(Union City)というのもあるがこれも聯合市というらしい。ハーフムーンベイも半月灣でかっこいい。フォスターシティ(Foster City)というのもあるがこれは福斯特城なのでCityは翻訳しているがフォスターは音訳と言う部分訳パターン。ただどうもフォスターさんという人が由来の地名のようなのでそこが音訳なのはそれだからかもしれない。

もちろん全部が翻訳なわけではないというか、誰がどういう基準で決めてるのか知らないけど意味としてはわかるはずだが音訳になっている地名もいっぱいある。オークランド(Oakland)は奧克蘭だし、ウッドサイド(Woodside)も伍德赛德で音訳だ。

カリフォルニア州にはスペイン語が語源の地名もたくさんあるが、ざっとみた感じ大体音訳されているような気がした。パロアルト(palo = 木、alto = 高い。地名の由来になった El Palo Altoという木が今でも残っています)は帕羅奧圖だしロスガトス(los: 定冠詞、gatos = 猫)も洛斯加托斯だ。ロスガトスはちょっと残念だな。前もどこかで書いた気がするけどロスガトスの市名の由来はこの辺の山に生息するマウンテンライオン(クーガー)のことだそうです。

そしてたまにすごい例外みたいな地名があり、中でも有名なのはサンフランシスコ。中国語で旧金山というが、これは1849年のゴールドラッシュに由来しているとのこと(その後他の場所でいろんなゴールドラッシュがあったので、旧がついている)。サウスサンフランシスコ市もあるが、これも南旧金山だそうです。

さらに余談だけど、日本語で地名を訳したら面白いよねといって作られたロサンゼルス(作った人が当時その辺に住んでたので)近郊の地図、というのを見たことがあって、ロングビーチが長浜になっていてウケた、というのも思い出した。ロングビーチは中国語では長灘だそうです。かっこいいな。