子の友達の主催するパーティに参加したら食事と一緒にカップケーキが用意されていた。2種類あり、一方は黒くてチョコレート味と思われるもの、もう一方は茶色というかきつね色というか、普通のカップケーキだ。日本語で言うとプレーンというところだろうか。子供にどっちがいいか選んでもらうことにするが、その時この普通の方の奴のことをなんと呼んだらいいかわからず一瞬言い淀んでしまった。箱にはラベル等が一切ついておらず情報はない。なんと呼んだらいい? 結局その時は色を使い、blackのやつとbrownのやつとどっちがいい?のように聞いた。blackのやつはchocolateだと思うよ、と言い添えて。
そのあとで他の子とその親たちとの会話を見ていたら、みな迷いなくchocolate? vanilla? などと聞いていた。
そうか、これが英語でいうところのvanillaというやつなのか。
だいぶ昔に vanilla JS という表現を知った時には、ものすごく腑に落ちない気持ちを味わったものである。似たように感じたことのある日本人も多いんじゃないだろうか。いろんなフレームワーク、ライブラリなどが使われることの多いJS界隈において、特にそういうものを使わない巣のJavascriptランタイムと標準の(webの)APIなどだけで作ったもののことを区別して呼ぶことがあり、そういう時にvanilla JSという名前が使われる(ことがある)。なぜかというとアイスクリームなどにいろんなフレーバーがあるが、標準的で特殊な味のついていないものがバニラ味だから、転じて特に何も足していないJavascriptはつまりバニラJS、という説明なのだが、でもバニラアイスクリームはバニラのフレーバーついてるでしょ……と腑に落ちない気持ちになったものである。
でもまあ英語での表現というのはそういうものなのだ。標準的なアイスクリームはバニラ味だし、特別なフレーバーがついてない普通のカップケーキもバニラ味なのだ。英語圏に何年も住んでいて本当に今更だが、本当にみんな自然にバニラ味と表現していてちょっとびっくりしたのであった。
この vanilla cupcake にバニラがフレーバーとして含まれているかというと……実際には含まれていそうである。だからバニラ味と呼ぶのが間違いとかいうことはないだろう。でもやっぱりバニラ味はまだなかなか自分からは出てこない表現ではある。精進します。