「◯◯ナウ」の起源

This entry was posted by on Sunday, 2 August, 2009

なぜナウやnawではなく「なう」なのか〜twitterのなんとかなう問題とかが代表的だが、この「◯◯なう」という表現がtwitter特有のものだという誤解がだいぶ強いようである。この辺の起源はいくらか込み入っているが、かいつまんで述べると2004年暮れぐらいから一部で使われ始め、mixiなどを通じて伝搬していったものが、相性の良さからtwitterで広まったというのが正しいだろう(注: 以下の文章は、上のリンク先の内容とは基本的に無関係です)。

私にとってはマサトクさんが使っていたという印象がある。たとえば、一番最初の使用例は2004年11月20日の茶箱ナウであるらしい。マサトクさんはその後もしばらく使い続け、ツーリングに行ったといっては一休みのポイントの度に「◯◯ナウ」というタイトルで写真1枚と一言二言のコメント、というスタイルの日記を(ore.toサーバの公開ブログとともに)mixi日記に上げ続けていた。ちなみにそのマサトクさんによれば起源は、

.@jmuk @takeohosoi @nijimu や、ちょっと前にも書いたけど、(同人?)音楽系つながりの @nacky あたりが「××ナウ」と使っていたのから来てます。前に聞いたら「大岡山ナウ」が発祥だった由。(masatoku)

とのことなので、彼と彼の知り合いが使っていたということである。肝心の「大岡山ナウ」はまだ見つけてないが、2004年暮れに使われだしたという理解で正しそうであり、私も2005年ぐらいではそこそこ使っていた気がする(この日記でではなく、mixiなどで)。

当初はカタカナ表記だったが、ひらがなへの転用も早い時期に行われている。わたしのマイミク日記を多少あさってみたが、たとえば2006年初にはすでに利用例があった。調べればもっと遡れると思うが、twitterの最初のプロトタイプは2006年3月、一般公開は8月。日本人が利用するようになったのは2007年中頃ぐらいではないかと思われるので、これもまたtwitter特有というわけではない。個人的な印象では、「◯◯なう」という表記はtwitterとは別に(個人的な印象ではmixiを通じて)、(同人)音楽系から次第におたく方面に広がっていったミームだと考えられる。起源が起源なので、なんとなくおたく臭いのもむべなるかな、という気もする。

twitterへの移入がどういった経路を通じてのものか、どう広まっていったのかはまだ調べきれていない。自分のtweetを多少調べてみたが、どうも自分がtwitterに登録した2007年6月頃では自分はすっかり飽きていたようで、そういう表現を利用していない。また、発祥となった人たちも飽きていたようで、そういう発言はtwitter上では見られない(たとえば上で挙げられているnacky氏は2007年頃のtweetでは「@大岡山」のような発言をしていた)。当時はそんなにtwitterではそういう表現を使っている人も多くなかったような気がする。ただまあ、mixiでは「◯◯なう」といった発言をする人は当時もいまも山ほどいるので、そうした人たちの利用によって次第にtwitterで勢力が拡大されていっただけで、特定個人がキーになったというわけではないだろう。このあたり、どのようにtwitter上でポピュラリティを獲得していったのかは今後の研究を待ちたい。

ところで、mixi日記で広まったりtwitterで勢いを増したのは、この表現が非常にライフログと相性がいいからだ。mixiは携帯電話から日記の投稿をサポートしていたし、twitterも各種のモバイルツールが完備されてきてどこでもつぶやけるようになってきた。で、今どこで何をしているというのをつぶやくときにはこの表現は短いわりに言語として間違っているのでジャーゴンと判別しやすいといった事情があり、使われだしたのだと思う。モバイル環境での更新は、古くはモブログといって一部の物好きがやっていたけれども、足廻りを整えるのが面倒でやりづらかった。mixiにしてもtwitterにしても、そういう面倒な部分は誰かがやってくれているのでモバイル利用がされやすく、それに応じてこのミームも勢力を広げたのであろう。

しかし、思うのはソーシャルネットワークの狭さである。twitterも含めて、ソーシャルなサービスというのは基本的に自分の周囲しか見ないということだから、ある界隈での常識は外からは全くうかがい知ることができない。「◯◯ナウ」はそういう事例として捉えると面白いのかもね。

Comments are closed.