つばな『第七女子会彷徨』

This entry was posted by on Monday, 20 July, 2009

コミックリュウの新人まんがですが、面白かった。スコシフシギなのが好きな人にお薦めの一冊。

主人公となる女子高生ふたりが、SFっぽいいろんな変なことに巻き込まれたりするっていう形式の連作短編集で、変なことというのは突然流行する不思議なデバイスであったり、タイムトラベラーだったり何だか解らないものだったりするわけですが、全体的に統一感というのはないものの、スコシフシギなテイストは一定していてこれがなかなかくせになる。

また、主人公の二人の関係の描き方とか、少しトボけた台詞回しとかは、帯に推薦文を書いた石黒正数とだいぶ近いものがあります。アシスタントか何かなのかな、と思ったらどうもそうらしいですね(『それ町』の4巻でアシスタントとして名前が入っているとか)。比較をするとさすがに石黒正数の方が上手いのですが、いずれにせよこの雰囲気はかなり好き。

中でも面白かったのは、世界が何だか解らないものに蹂躙されていく第2話「正体不明」(これがまったく本当に「何だか解らない」としか言いようがなくて素晴らしい)、プライバシーの観点から顔を隠すデバイスが流行するという第3話「顔隠し君」、友達ペアが学校に割り当てられてその関係性が成績というかたちで評価される第8話「友達選定」、グレッグ・イーガンの「しあわせの理由」を彷彿とさせる書き下ろしの第12話「笑い袋・新世紀」といったところでしょうか。

半分ぐらいは2008年の号に掲載されていますが、2009年の作品は年刊SF傑作選の圏内だという気がしますね。たとえば「友達選定」なんかでどうでしょうか。

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