『がらくたストリート』がZERRY藤尾先生すぎる件について

This entry was posted by on Tuesday, 30 December, 2008

がらくたストリート 1

存在すら知らなかったんですが、こないだバーズコミックスで出た山田穣『がらくたストリート』っていうまんががあるんですが、つまりこれがZERRY藤尾の新作であるということだそうですね。

いやあのね、ZERRY藤尾好きなんすよ。エロまんがなんですが、なんというか、とにかくヘンでひねくれてる作風でありまして、「もとから長居する気はないんだよ。今日は大井武蔵野館で「岡本喜八三本立て」観るんだから」「おまえホントに子供らしくないな」とかいう会話がふつうにあったりするわけですよ。ってこの説明ではさっぱり伝わらない気がするが……。

このまんがも、そういう文脈において非常にZERRY藤尾らしさに満ち溢れた作品でありまして、タクシードライバーが「タクシー生活25年、不況や過当競争にも負けずこの腕で家族を支えてきた! そのおれに気安くパッシングできる腕か小僧!!」と叫んでバイクと峠でバトルをしてたりとか(もちろん本筋にはまったく関係ないどころの騒ぎではない)、渓流釣りをしながら「磯」という単語が出てくると磯光雄の話がはじまったり、稗田礼二郎によく似た文化人類学者(名前はなぜか稲羽信一郎)が出てきたり、うまいチャーハンの作り方を兄ちゃんが説明してくれたり、主人公の友達はことあるごとに孔子を引用するし(「孔先生はこう言ったね。「巧言令色鮮し仁」」「「義を見てせざるは勇なきなり」?」「ああそれだ」とか)、で結局本筋って何だったっけ。まあともかく、ものすごく楽しいんすわ、これ。

まあそんなこんなで、万人にウケるわけではないでしょうが、一部の人間には非常にウケる作品だと思います。オレはその一部の人間でした。皆さんがどうかは知りませんが、皆さんのなかにはぜひこれを読むべきだという人が含まれていると思います。たぶん。

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