青木幸子『ZOO KEEPER』[3]

This entry was posted by on Saturday, 7 July, 2007

個人的には「特殊能力を持った主人公が、その特殊能力を特に生かさずにいろいろあるまんが」ネタで、すくなくとも連載中で『もやしもん』と双璧をなすまんが。そういえばどちらもイブニング連載だな。

コマ動物園の新米飼育員、楠野香也は「温度を視認できる」という能力を持っている。この能力を生かしたり特になにもしなかったりしながら、いろんな動物と、動物園のためのいろんな問題に応対するのがこのまんがの読みどころ。

で、このまんがの面白さは、動物園という施設の切り取り方にある。

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動物園は基本的に金食い虫。なくて生活に困る施設ではない。生き物を囲い込み見世物にする。それらの疑問に対する答えは一つではない。しかし――それらの疑問を越える信念がなく! 信念を通す行動がないならっ!! そんな園などつぶれてしまえっ!!

これは2巻での(主人公の勤務する園の)園長の言葉だが、ここにこのまんがの切り取り方が端的にあらわれている。動物園ってなんなのか、動物を囲い込むことにどんな意義があるか――。だからこのまんがは、動物が主題ではあるけれど動物が主題ではなく、あくまでも ZOO KEEPER (動物園の管理者=飼育員)の目線の物語だ。そのメタな視点がとても面白い。

でも、そういう真面目な視点だけのまんがじゃなくて、くすっと笑えるところもあり、ぐっと来るところもある。なんだろうね、絵は上手い人じゃないと思うけれど、引き込まれる。

今回の白眉は予算がおりたので新しい展示のコンペをやるというエピソード。チーターを全力疾走させるという展示やその意義というのももちろん面白いんだけど、それまで主人公が関わったキャラが総登場で主人公に協力を求めるくだりや、けっきょくそれがぜんぶ主人公が協力した別のアイディアに負けるときの反応とかなんかが、結構おかしくて笑えるんだよね。

オススメです。

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