アダム・ファウラー『数学的にありえない』
>面白く読めなかったわけではないのだけど、基本的にはおれにはだめでした。
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>「政府の巨大な陰謀に巻き込まれた天才数学者が、追手をかわしながらひそかに進められる研究を暴く」という基本的なプロットはあくびが出そうなほどありきたりに聞こえますが、これがデビューという筆者の手腕はなかなかのもので、いわゆるページターナーというやつですか。かなり読ませます。引き込まれるし、面白い。
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>そんで、ラストになると、わりとびっくりするような○○が××だったオチがあったりして、それも良い。ただまあ、最終的な決着じたいはおとなしめなんですが。
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>しかし、とにもかくにもここでおれが言いたいのは、この本は、心の狭いSFファンにとっては、だいぶ広い心で暖かく受け止めてあげないと読み通すことの難しい、という側面も持っているのであります。そしておれは自分が心の狭いSF ファンであるということをつくづく思い知ったわけであります。
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>主人公に超能力が芽生えるとまあ、そういうありきたりなSF設定ではあるんですが、うーん……どうなんでしょうね。そういう能力だと思えば辻褄はあってるんですが、どうも気になるんですよね。あと、確率論や数学や物理学なんかの蘊蓄が途中で嫌ってほど語られるんですが、残念ながらその説明と物語があんまりうまく合致していないですね。
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>まあ、スリラーとして非常によく書けていると思いますが、基本的にはおめえ『宇宙消失』でも読んでなさいっていうヒネたSFファンの感想でありました。
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