武富智『EVIL HEART』

This entry was posted by on Sunday, 24 July, 2005

合気道っていう武道を扱ったまんがってのがどれくらいあるのかということにはまったく無知なので、よくわからない。けれども、典型的イメージってのはバキに登場する渋川剛気なように思う。ようするに、一言で言えば投げ技の達人で、どんな攻撃を仕掛けても軽やかに投げ返されてしまう、武道の達人というよりは曲芸師と魔術師を足して2で割ったようなイメージ。

ところが合気道ってのは本当には試合もない、地味な護身術だったりする。いや、僕は合気道に対する知識もまたゼロに等しいわけですが、たぶんそう。でも、試合がない、自分からは戦わない、というのでは少年まんが的にわかりやすいものになりづらくて、扱いづらい面もあるんじゃないかというのは想像に難くない。そういうわけで「合気道まんが」といってもなかなか咄嗟に思いつかない。

でも、そういう武道であるところの合気道の特殊性に着目すると、逆に青年まんがにとっては実に相性がいいってのを示したのがこのまんがだと思う。

ケンカっぱやい主人公の少年の梅や、胡散くさいけれども合気道の達人のダニエル先生を主軸にして、家庭内暴力、不良少年たちの暴力とそれに対抗する暴力を描いていて、そこに「自分から戦ってはいけない」という合気道が上手い具合に絡まりあった、少年の成長ドラマとなっている。

いや、実に面白いです。

「なんでこのまんががヤンジャンなの?」というくらい、現在のヤンジャンの紙面の雰囲気と違うまんがなので、ちゃんとこのまま続いてちゃんと終わってくれるかということだけが心配です。

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