山本弘『MM9』
世界は怪獣災害に悩まされていた。年に何度か、どこからともなく現われて人々に害を与えて去ってゆく怪獣たち。そんな怪獣たちに立ち向かう人々がいた。怪獣を発見・特定し、性質や修正を調べ、弱点を特定する、彼らは気象庁特異生物対策部……通称、気特対!
という設定の怪獣小説(笑)。気特対の人たちは、じかには戦わないのね。怪獣は自然災害なので、気象庁の人たちが予測をする。で、退治の方法がわかったら自衛隊の人たちにおまかせするという段取りに、まず捻りがある。それから、物理法則を無視するような怪獣たちがなぜ出現するのか、というところに人間原理を織り交ぜた無茶な説明が加わる。
それだけじゃなくて。なんていうかな、怪獣ってのは基本的にビジュアルなものなんですよね。怪獣小説ってのもあるけどそんなにメジャーなジャンルではないし、基本的にガッカリなものが多い感じがする。ガッカリというか、「まあ面白いんだけどナンか違うよなー」みたいな感じか。でも本書は作者が作者だからか、面白いだけじゃなくて非常に怪獣怪獣していていいのだね(我ながら何を言いたいのかよくわからん説明だが……)。かつまた、登場する怪獣もそれぞれ捻りがあってよろしい。
ともかく、どこを取っても「あー山本弘は楽しんで書いてるなー」という雰囲気に満ち溢れているのが大変にすばらしいのだな。オチがウルトラというのはちょっと想像できませんでしたが。いやーころっと騙されちゃいまして、「そういうオチかいっ(笑)」みたいな感じ。そんなところも含めてヨイですね。