フィリップ・リーヴ『ラークライト 伝説の宇宙海賊』

This entry was posted by on Wednesday, 26 September, 2007

ラークライト―伝説の宇宙海賊

とうとう星雲賞まで受賞してしまった『移動都市』のフィリップ・リーヴの新作! ただし、ハリポタからこっちよく見かけるハードカヴァーのジュヴナイル。まあ『移動都市』もジュヴナイルなんですけれども。

サー・アイザック・ニュートンが万有引力の法則のあとに錬金術の秘術「化学融合」を発見したあとの19世紀。その秘術により宇宙に進出した大英帝国は栄華を極めていた。主人公は、月の裏側にある古びた家「ラークライト」に住む12歳の少年アーサー。母はすでに亡く、ちょっとうるさい姉のマートル、さほど有名ではない研究者をやっている父のエドワードと3人で暮らしていたが、そこが謎の宇宙生物に襲撃される。アーサーは姉と命からがら逃げ出し、逃げた先で出会ったのは悪名高い宇宙海賊ジャック・ハボックだった……といった粗筋。

『移動都市』は「これがジュヴナイルか!」とラストの展開に驚いたものだったが、こちらはもう少し手慣れたのか、わりとふつうのジュヴナイル。特に何の説明もなく火星人とか月の生物とか宇宙を漂流する魚モドキとかが出てくるあたりにオレの中の「心の狭いSFファン」心を少し刺激したが、しかし、そういうものも腹が立たないほどには面白い。原書と同じイラストレーションも楽しくて、はじめの方、13ページにあるラークライトの見取り図を見て楽しそうだと思えるなら大丈夫。

個人的には『移動都市』の方が好きだが、ウェルメイドなジュヴナイルが好きな人にはぜひ。映画にもなるらしい。

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