映画『夕凪の街 桜の国』

This entry was posted by on Wednesday, 22 August, 2007

いろいろ聞いていたけれど、確かに「夕凪の街」の麻生久美子が抜群によかった。すばらしかった。総じて頑張っている感じで、全体としてはよかったと思う。

で、「夕凪の街」は、結末のあたり以外はかなり原作に忠実に作ってあって、多少のアレンジがあっても、わたしはあれでいいと思った。いい雰囲気で作ってあって、ちょっと泣けた。けれども「桜の国」がちょっと、ね。

原作では時系列で異なる二本のエピソードとしていたのをうまく混合していたのは機能していてよかったし、いい点はいっぱいあるんだけど、大袈裟に言えば根本的なところで認識の違いを感じたのですよ。

「桜の国」には(いや「夕凪の街」にもだけど)、ちょっと調子のはずれたユーモアがいっぱい潜んでる。「またいらぬことを知ってしまった!」とか七波がつぶやいたりとか。最後のコマなんかも特にそうだと思うのね。

で、こういうトボけた笑いこそこうの史代の持ち味だし、何よりこの作品の持ち味だったと思うのだ。うまく書けないんだけど、原爆という居ずまいを正して拝聴するべきテーマであるものを、こういう風に描いたってことが、このまんがの良さだったんじゃないかなあ。

それでも、あのラストには泣いているような客もいたみたいだから、この選択が失敗だと安易に断ずるのも少しためらわれるのだけれど。でも、それでいいのかなあ、と思うのだな。まあだから認識の違いだな。

よかったところ。旭と京花のくだりを七波が見守っているというのは良かった。オレンジのパーカーを着て、七波がすごく浮いて見えるのもよし。「桜の国」の役者では凪生がよかったな。

あと、「Diamond」を持ってくるのはちょっと良いと思いました。

せっかくなのでちっとアサマシ。 夕凪の街桜の国

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