チャールズ・ストロス『シンギュラリティ・スカイ』

This entry was posted by on Friday, 23 June, 2006
>「シンギュラリティ作家」ことチャールズ・ストロスの第一長編の和訳。特異点ネタ+スペースオペラ。ふむ、「web2.0」的な見方をするとこんな感想になるだろうか―― >
> >本書は極めて予見的な本となっている。物語は、ロヒャルツ・ワールドという惑星に謎の一団が侵攻するところから始まる。この惑星を含むいくつかの星系は、既存の権威と王権を信奉する「新共和国」なる国家に属していた。新共和国の皇帝はただちに攻撃艦隊を派遣する。 >
> >ところが、このフェスティバルという一団はそもそも侵略なんかをしていな > > >い。やっているのは、情報を受け取り、相手の望むものをただ与えるだけ。物質を複製する機械すら与えてしまう。新共和国はどうしてもそこが理解できないのだ。 >
> >これは、言うなれば「あちら側」と「こちら側」の断絶を表した物語である。 > > >「こちら側」こと新共和国は、「あちら側」ことフェスティバルが、そもそも何をしているのかが理解できない。理解できているのは混乱に陥っているという事態だけ。「あちら側」が「祭り」と呼ばれていて、その中にはクリティック(批評家)がいるというあたりも実に示唆的だ。また、主人公のひとりは「こちら側」の攻撃艦隊に乗り込むはめになった人間で、ぜんぜん成功の見込みのない侵攻をなんとかして食い止めようとする。そういう意味で、これはデスマーチ小説でもある。 >
> >とかなんとか。 > >まあそういう下らない読みはいろいろとできるのは事実であるが、あんまり気にしないでスペオペとして楽しめば良いのではないか、と思った。小説としてはかなりバランスを欠いているが、奇妙な魅力がある。攻撃艦隊の侵攻方法や「エシャトン」、地球の政治状態、フェスティバルの正体などなど、いろんなガジェットがたくさん出てくるのも個人的には好きなところ。冒頭の電話が降ってくるところも良いです。 > >まぁね、そうは言ってもやっぱりフリーソフトウェアとかそういうのに馴染んでいるもので、うっかりするとそういう読みになってしまうのだけれど、あんまり肩肘はらずに読むと良いのではないかと思った。面白いよ。 > >あと表紙カッコいいですね。 > > > >……ってアマゾン No Image かよ! >

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