ウィル・マッカーシイ『コラプシウム』

This entry was posted by on Sunday, 7 May, 2006
> > >舞台は遠未来。コラプシウムという物質を発明し、社会を一変させてしまった科学者が主人公で、今はカイパーベルトに隠遁しているのだが、たまに太陽圏の危機に時々もどっていろいろある、という話。基本的には全3話構成でさくさく読めます。 > >さくさく読めるのはいいんだけど、前2つの話がヤマもなければオチもなくイミもあるのかよくわからないというのはちょっと物悲しくなる。第三のストーリーだけ少し捻ってあるけれど、物語としてはさほど面白くはない。とにかく遠未来で高度に発達しすぎた科学技術がまさしく魔法にしか見えず、いちおうハードSF的な設定がいろいろあるらしいのだが、読んでいてどちらかというとハヤカワFTで数ヶ月にいっぺんくらいこういうのあるよね、的な話だと思ったことであった。女王国だしな。 > >女王国といえば、この太陽圏には女王がいる。なんでも人類というのはそもそも王を崇めるような精神構造にできているのであって、したがって(そのことに人類が気付いた時点で残されている)人類最古の王朝であるところのトンガの王族、がちょうど溺死したところだったのでその娘がソル女王国の女王をやっている、なんていうヘンテコな設定はなかなか思いつけるものではない。こういう捻ってやっているのか素なのか掴みどころがない妙な設定がそれなりにちりばめられていて、そういう面では楽しくはある。 > >キャラクター小説として見るとまぁまぁで、タムラ女王と主人公のブルーノ・ド・トワジの関係や、表紙をかざったヴィヴィアンなど、それなりに読ませるところもないでもない。ちなみにヴィヴィアンが出てくるのは「第2話」なので、本のはじめ1/3では登場しません。 > >表紙について言うと、この表紙は諸々のSFファンの物議を醸し出していたけれど、読んでみるとかなり作品内容にあってる。こーゆーのを期待して読むような人の場合、いつまでたっても表紙のキャラが登場しないとか上に述べたようなヘンテコな設定とかが邪魔をして読めないかもしれないが、おおむね、だいたいそのような期待で読めばいい感じだ。しかし「熱血スペースオペラ」ではないな。 > >感想の方も散漫になってしまったけれど、個人的には積極的に推すものではない。が、案外さくさく読めるので、さくっと読めばいいんじゃないですか?的な。 >±0 > >

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