甘酒を作っていた

This entry was posted by on Sunday, 13 February, 2011

2ヶ月ほど前の年末の寒い時期にふと五十嵐大介の『リトル・フォレスト』を読み返していたら、ムショウに甘酒が作りたくなったのです。

マンガの記述を信じるなら、時間はかかるがさほど大変ではないし、検索してみたらAll Aboutの記事も見つかって、これまたお手軽。なので作ってみたという次第。学生時代のひとりぐらしで培われた性向かもしれないが、この手の「時間はかかるが手間はさほどかからない製作過程」というのはわりと好きな部類で、鳥はむもよくつくっていたし、塩豚も貯蔵していたし、果実酒も作ってたりした(最近は全部全然やっていない……)。この甘酒もその種の似たような「実験」、のようなものだと思う。

しかし、甘酒作りには欠かせないものがある。麹だ。

もちろん家庭で甘酒をつくるだけなら、スーパーに行けば甘酒の素みたいなものはいっぱい売っているし、酒粕も手に入るから酒粕ベースの甘酒も作れる。でもこのマンガで描かれているような、伝統的なタイプの甘酒を作りたかったら、米のほかに麹が必要になる。だけど根っからの都会っ子なぼくには入手手段がよくわからない。よくわからないまま近くのスーパーをうろうろしたりした結果、けっきょくamazonで買った(→米こうじ 500g)。500gは相当多く、年末からちょくちょく作っていてようやく終わったのがついこないだ。ご利用は計画的に。

作り方は、ひとまずAll Aboutの記述を信用してみたところ、うちの炊飯器は保温時の温度が高いのか、作り方がまずかったのか、さほど甘みのないものができた。まるでただのお粥。その後、いろいろ試してみて、けっきょく『リトル・フォレスト』の記述が一番オキラクであり成功率が高いという結論に達した。やり方は以下のとおり。

  1. 湯を沸騰させて湯たんぽを作る。
  2. 粥を作る。ぼくは鍋で煮て作ったが、炊飯器でもたぶん全然大丈夫。
  3. 作った粥を冷ます。風呂の温度より多少は温かい程度ぐらいまで。熱いと麹が死んでしまうようなので、冷ましすぎぐらいのほうが失敗しないようだ。
  4. 冷ました粥に、元の米と同量の麹をぶち込む。同時に、カップ1杯ぐらいの水を足す。冷めると米が吸水してほとんど液体分がなくなっちゃうので。まあ水を足すのはやらなくてもいいかも。わりと気分の問題。
  5. そのまま鍋を湯たんぽの上にのっけて、ふとんとかタオルとかで巻いて熱が逃げないようにする。
  6. 一晩ぐらい置いて、湯たんぽごと冷めたところで鍋をコンロに戻して、火にかけて再加熱して完成。

最後に加熱するのは、そうしないと冷めちゃってるので冬場には悲しいという意味もあるが、これはどちらかといえば発酵を止めるという意味。火にかけたりせずに湯たんぽを使うなどして再加熱を継続して発酵を継続させても良いかも。ちなみに分量は、米が半カップぐらいでお椀二杯分ぐらいはできます。

自分で麹から作った甘酒はウマい。アルコール分はぜんぜん感じられず、酒臭さは微塵もなく、自然な甘さがある。また、製法上の都合だと思うが、米粒がかなりそのまま残る。コップに入れて飲むのは無理があり、写真にあるようにお椀に注いで食べる、お粥の一種みたいな感じになっている。「飲む」というよりは「食う」って感じ。初詣の屋台とかで売られている甘酒の米がぐずぐずに崩れているのはかき混ぜどおしだからなのかな、よくわからない。

麹さえあれば作るのはそんなに大変じゃないので、まだしばらく寒い季節が続くみたいだし、作ってみてはいかがでしょうか。まあ、いまから麹500gも買ったらすンごい余ると思うけどね!

ちなみに、江戸時代には甘酒は夏に飲むものだったので、季語としては夏。これ豆な。

ところで『リトル・フォレスト』はマジおすすめの傑作。ぼくは基本的に都会でないと生きられないタイプの人間なのでこういうスローライフに憧れはないのだけど、この作品は農業生活の地味さとそうした日常の細やかな楽しさを淡々と描いていて、そこが素晴らしい。

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