『SFが読みたい!』ベスト投票した

This entry was posted by on Saturday, 28 November, 2009

もう毎年恒例になった『SFが読みたい!』の年間ベストSF投票をしました。内容は出てからのお楽しみということで。今年はあまり他人と被らない投票になったんではないかなあ。個人的な予想としては、国内は長谷敏司と伊藤計劃の一騎打ちで伊藤計劃の勝利でしょう。海外はペルディード・ストリート・ステーションでしょうね。

また、今度でるのは2010年ということで、今年は00年代ベストを選ぶことになっていた。これは以下の通り。

国内:

  1. あなたのための物語
  2. Self‐Reference ENGINE
  3. 神は沈黙せず () ()
  4. ハーモニー
  5. ラギッド・ガール
  6. 楽園の知恵 -あるいはヒステリーの歴史
  7. 老ヴォールの惑星
  8. 沈黙のフライバイ
  9. 四畳半神話大系
  10. 熱帯

海外:

  1. あなたの人生の物語
  2. しあわせの理由
  3. タフの方舟 (1: 禍つ星) (2: 天の果実)
  4. スペシャリストの帽子
  5. 移動都市
  6. 火星の長城
  7. 最果ての銀河船団 () ()
  8. ふたりジャネット
  9. アッチェレランド
  10. 奇術師

こちらはコメントを書けないので、簡単にコメントを書くことにする。

基本的には読んで面白かったということを基準に選んだ。『20世紀SF』など編纂そのものを高く評価したいものってのもあるけど、そこはばっさりと無視してしまうことにした。また基本的には小説をターゲットとし、エッセイや評論は対象外と考えることにした。レムの『高い城』を入れるかどうかは悩んだのだが入れなかった。また、同一作者は最大で1作品とすることにした。それから、もとは昔に書かれた作品についてはあまり入れないように考慮した。『高い城』を落とした理由や、飛浩隆が『象られた力』でない理由はその辺である。『タフの方舟』も結構古いけど、まあそれはそれだ。

それにしてもこの10年を振り返ると実に感慨深いものがある。そもそもSFマガジン誌上で行われてきた年間ベストを分離独立するようなかたちで『SFが読みたい!』が発刊されたのもちょうど2000年だったというのもある。一方で個人的な事情として、2000年に初めてSFセミナーというイベントに参加し、SFファンダムにかかわるようになってきたのがこの00年代だったし、それはつまり私のSFの評価軸というか物心みたいなものがようやく出来上がってきた10年だったとも思う。2000年ころのベストを見ると当時の自分の感想が思い起こされるが、それは今から考えるとあまり軸足がさだまっていないふらふらした感想だったようにも思うし、余計なことにとらわれない無邪気な感想だとも思える、なんとも感慨深いのだった。10年というのはそういうことができるタイムスパンなのだと改めて実感した。

ところで、ずいぶんと短編集を多く入れたベストだなという気がする。この辺は個人の嗜好のあらわれかも。国内では5、6、7、8が短編、9は短編集(?)という感じ、2も連作短編といった風情がある。海外では1、2、4、6、8が短編集、3と9が連作短編である。ちょっと入れすぎたかも。

ともかく、ここで挙げた作品はどれもおすすめ。未読な人はぜひ。

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