ややこしい投票方式といえばヒューゴー賞に勝るものなし

This entry was posted by on Saturday, 3 October, 2009

ところでオリンピックに対する投票では早々に東京は敗退したようで、まずはめでたい。万が一どうかなってしまったらどうしようかと思った。それにしても、みなさんどこまで本気だったんですかね。

で、このオリンピック開催地を決めるための投票方式がなんだかややこしいのだそうでなにかと思えば、各委員が投票を行い、最下位を落としてまた投票、ってのをどれかが過半数をとるまで繰り返すのだそうな。これってなにか名前のついた方法なのか、また、どういう特性のある方法なんだろうか。比較的公平にも見えるが……。

これで思い出したのはヒューゴー賞の投票方式だ。ヒューゴー賞はアメリカのSFファンたちがファン投票で選ぶ賞で、日本にも星雲賞という類似の賞があるのだが、投票方式はぜんぜん違う。星雲賞は単に各ファンはひとり一作品に対して一票を投票し、票が一番多い作品が勝つというごく普通のもの。ところが、ヒューゴー賞は今はこのオリンピック決定と同じような投票方式に従っている。

ただ、ヒューゴー賞の方が若干ややこしい。なぜかという理由は2つあり、ひとつは投票権を持っている人間は数千人もいるっていうこと(投票率は相当低いが、それでも1000票は超える)、もうひとつは、投票は事前に行っておく必要があるが、発表はワールドコン(世界SF大会)の会場でやらないといけないという事情による。つまり、投票が終わったあとで「過半数はありませんでした。最下位はこれこれなので、これに投票した人は再投票してください」とは言えないわけ。

まず、各ファンは5つ挙げられたノミネーションの順番を投票する。作品Aが1位、Cが2位…みたいな感じで全部順序をつける。でも最初の投票では1位の票しか使わない。この時点でどれかが過半数であればその作品の勝ち。で、そうじゃない場合は得票数が最下位となる作品が消える。そして、最下位に投票した票の2位の作品に票を振り分け直す。この時点でどれかが過半数だったらその作品の勝ちだが、そうでなければさらに最下位の作品が消える。そして、その最下位(=下から二番目の作品)に投票した票については、2位だか3位だか、次の優先順位の作品に票を振り替える……ということを繰り返してどれかが過半数になる(か、該当作なしが過半数になる)まで繰り返す。

書いていてもこんがらがってきましたが大丈夫ですか。つまるところオリンピックと方式は一緒なわけだが、最初の投票のときに「もし自分が最下位に投票してしまった場合はこれこれ、それが最下位だった場合は……」っていうのを予め意思表明しておく、ということだ。それにしても投票者もとにかく面倒だし集計するだけで悪夢だろう。ヒューゴー賞は部門の数も半端なく(14ある)、ベスト編集者短編部門のように「そんなの知るか」としか言いようがない部門がかなりある。そんななかで毎年きちんと賞が出るのも偉いもんだ。まぁ、自分にとって詳しくない部門については該当作なしではなく、単に棄権を選ぶのだろうけれどそれにしてもなー。

ちなみに、ヒューゴー賞の公式サイトや各種のSF賞関連のサイトでは最終結果しか載せていないが、ワールドコンに行けばどういう票の推移で勝ったのかということが記載されたビラが配られる。といっても数字だけなので何がなにやらという感じではあるが。

2 Responses to “ややこしい投票方式といえばヒューゴー賞に勝るものなし”

  1. ほそいたけお

    や、大会のサイトにはだいたい経過も掲載されているよ。

    Denvention 3のはここ。
    http://pl745.pairlitesite.com/hugos/Final-Report.pdf

    2009年は公式サイトにも載ってます。
    http://www.thehugoawards.org/content/pdf/2009%20Final%20Ballot.pdf

  2. おっと、もっとちゃんと調べるべきだったか。thanks