BBCのTVドラマ『シャーロック』が面白い

This entry was posted by on Sunday, 12 December, 2010

今年の夏ごろにイギリスで放映され、結構評判だったらしいものを見てみた。amazon.co.ukからの購入品。あ、英語が苦手な人は日本語版のパッケージ化を待ったほうがいいと思う。英語の難易度的には結構高い。

これがどういうドラマかというと、シャーロック・ホームズを、舞台を現代のイギリスにしてリメイクしたというもの。アフガニスタンに従軍して負傷した退役軍医のジョン・ワトスンは友人の紹介でシャーロック・ホームズという名前の奇妙な人物と出会い、ベーカー街221Bに間借りして共同生活をするようになる……ってところまでは一緒だが、舞台を現代にした分、いくらかのひねりが加わっており、それがなかなか面白い。とくに第1話はタイトルもstudy in pinkであり、緋色の研究(study in scarlet)の本歌取りのような形になっている(現在のところ放映は全3話で、2話と3話はオリジナルストーリー)。

もちろん、シャーロック・ホームズの物語をそのまま現代に持ってきても通用しない。物語の前提そのものが成り立たなくなっているものもある。第1話も本歌取りとはいえ、結末や動機は違う。なんせ登場人物はみんなケータイを使っているし、原典でのホームズが持ち合わせている知識は現代ではおおかた陳腐化していたりちょっと調べるだけですぐわかったりしてしまう。たとえば、死体の脇に残されたRacheというメッセージを、字句通りドイツ語で復讐を意味することから警察が「被害者はドイツ人だろう」と判断するのに対してホームズが「それは違う、このメッセージはきっとRachelだろう」と主張をしたりするあたりのひねり方は象徴的。そういう意味で、これは正しい意味でのリメイク(作り直し)になっている。

映像表現も凝っていて、ちとやり過ぎて見づらい感もなきにしもあらずだが、これがカッコイイ。ホームズが自分の推論を開陳するときの描写も滅法かっこいいが(しゃべるのが速すぎてついていけなくなるが)、とくにホームズの推理のシーンやケータイでSMSを送りあうあたりでメールの本文やホームズが考えていることを画面上に浮かべて見せるという映像表現がかっこよかった。

日本で放映されたり、パッケージ化されることがあるのかはよくわからないけど、面白いし評判になっているからそのうちあるんじゃないかなと思う。とはいえ一話90分、全3話では今ひとつまとまりが悪いので、来年あるという第二シーズンまでは放置かもしれないけど。

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