青木幸子『王狩』

This entry was posted by on Wednesday, 27 October, 2010

王狩(1)

ZOO KEEPERの青木幸子の新刊は将棋もの。

将棋ものというとプロや真剣師のまんがが多いですが、この『王狩』は奨励会に通う子供たちを描いている一種の青春もの? もうひとつの特徴は主人公が女の子ということかな。将棋や囲碁の世界で女性は圧倒的に少数であり、おそらく競技人口の関係で女性の戦績はあまりよくないのですが、主人公は奨励会のなかでも健闘する天才少女、という設定。またそういう「天才少女」がいる、という状況をうまく利用して立ち回ろうとする周囲の大人たちの思惑があったり、そういう「盤外戦術」のストーリーの方にも面白そうな雰囲気が出てきつつある第1巻でした。

主人公の設定で面白いのは、いわゆる写真記憶(過去に見聞きしたものを全て記憶する能力)を持っているっていうところで、しかしそれが強みになっていないというところでしょう。いみじくも奨励会に通うような天才たちならば棋譜の記憶ぐらいはできて当然、何もかもを覚えていることは大きな強みにはならない。むしろ逆に覚えてすぎていることから盤外戦術を仕掛けられる……という展開は面白いと思いました。

まだ1巻ですが続刊がたのしみです。

ところで青木幸子の新刊は同時に『茶柱倶楽部』という作品も出てます。こちらもおすすめ。

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