AVATAR

This entry was posted by on Tuesday, 5 January, 2010

見たよ! 病み上がりの3日に、川崎のIMAX 3Dで見た。前評判通りのすンごい映像体験でありましたさ。

とにかく前編が3D前提で作られていて、なんてことない場面も含めてかなりのシーンが3Dになってるので、こらまァたしかに3Dで見ないと全然意味がない作品でありましょう。IMAXがベストらしいので首都圏なら川崎か埼玉で見るしかないんだそうな。

3Dといっても、誰かがどこかで書いていたけど、弓矢とか武器が観客に向けて飛んでくるようなわかりやすい虚仮威しではなくて、もっと舞台の遠近感をだすような使い道になっている。舞い散る火の粉が前に奥にと飛んでいたり、それとなく基地のいろんなパーツが遠近感を持っていたり……しかし、なんといっても「パンドラ」の姿が素晴らしい。樹木あふれる自然の地で原住民たちと主人公たちが跳んだりはねたり、馬らしき動物に乗ったり、竜みたいな動物に乗って飛んだりするわけで、この移動の感覚、疾走感、そしてなにより飛翔するふわりとした感じに3Dが大いに貢献している。貢献しすぎて、正直酔いました(先述したように正月早々風邪を引いたというのもあり、体調が悪かったてのもあるけど、ダメな人は相当ダメだと思う、あれは)。「虚仮威し」にありがちな、戦闘シーンの3Dとかはむしろあんま大した事になっておらず、スピード感があると奥行きがわかりづらくなるからかな、と思ったけど、原住民の普段の描写で3Dが極めて効力を発揮していてすごいことになっていた。クライマックスのガッツンガッツンした戦闘はむしろ心安らかに見ることができて、中盤の方が気分悪かったぐらい(笑)。んで、パンドラっていうのがなんでああいう緑豊かで木々や地形が複雑な環境なのかっていうと、テーマ以上に「3D映り」をよくしたいからなんだよね。そういう点を本当によく考えて作った作品なんだよなーって思いながら見てました。

一方、ストーリーはダメだダメだとさんざん耳にしていたけど、ここまでダメだとは思わなかったレベル。この映画は映像が全てなのでストーリーとかはオマケみたいなもんで、それこそ子供でもわかるようなわかりやすーい話にしといたから映像を楽しんでね、ということなのである、といった言い訳も聞いたことあるけど、それも納得というか。さすがに見ててイラッとくるところもあるわけですが、そこはしかし広い心で受け止めたい。あと、ストーリーというかキャラクターでいうと、大佐(演: スティーヴン・ラング)が素晴らしかったのでそこは特筆しておきたい。

この話は、ようするにパンドラという新天地に鉱物資源を採取しに行ったら原住民がいたのでそいつらを弾圧しようとしている人類側と、原住民の対立という話なわけですが、その人類側の最大の悪役が、人類側の軍部を統率する大佐という人で、この人が実に解りやすい悪役なのね。こんな「悪役の記号」にまみれたキャラ、いくらハリウッド映画でも久しぶりに見た!って思ったぐらいですよ。軍用機のコクピットで指揮を執りながらコーヒーを飲んでたり、「よくやった、最初の一杯は俺のオゴリだ!」と兵を労ったりする、豪放磊落で無神経な軍人キャラですが、わかりやすく悪逆非道。原住民が神聖視している「神の木」に焼夷弾を打ち込んで燃やしておいて、逃げ惑う原住民を見て笑いながら「ゴキブリはこう追い払う」ですからね。ありえねーですよ。どんなエンターテイメントの悪役でもこんなコテコテじゃねえってぐらいわかりやすくてイカスキャラでした。素晴らしい。

ストーリーについてはそれぐらいですが、改めて映像はやっぱスゴイなと思いました。3D!3D!っていうところをどうしても強調したくなりますけど、CG技術もかなり極まってましてスゲエ!という感じ。そっちはもう、技術的にはこうなるだろうてのはわかっていたことなわけですが、まさにそれをやり遂げてしまったという凄みがある。ありました。年末に『カールじいさんの空飛ぶ家』も見たんだけど(その感想もいずれ書こう)、あれとはまさに正反対の方向性なわけだよね。役者がちゃんと演技して、それをもとにCGにする。「アバター」という作中のテクノロジーが、映画のCGキャラクターのメタファーにもなっている点も興味深い。

興味深いといえば、主人公であるジェイクの描かれ方も興味深いもののひとつ。ジェイクは元海兵隊という設定なのだけど、戦傷で足を痛めており、車椅子でないと動けない。それがまた、アバターに乗り移ったときの躍動感にも繋がるわけだけど、ここで注目したいのは人間としてのジェイクの描かれ方のほう。車椅子からアバターのポッドへを乗るとき、ちゃんと上半身を使ってまず腰をのせ、それから両手を使って足をポッドに突っ込むといった所作がいちいち細かい。そしてなにより、足が萎えているのだ。上半身の筋肉ではありえないぐらいの足の痩せ方は役作りとしては考えられず、やはりアバターと同じ技術によってCGで描き出されているのだろう。明確に「アバター」と「人間」が分かたれている映像だから、うっかりすると「人間の姿」は役者が演じたものそのままであり、異星人の姿はCGを使って加工したものであると認識してしまいがちだけど、もうそんな区別なんか必要ないんだよね。

そういうわけで、すンごい映像でしたぜ。いや、まあ。

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