がんばれ奈良野先生

This entry was posted by on Monday, 19 January, 2009

がんばれ!猫山先生 (1)

知り合いの医師が薦めてたので読んでみた、日本医事新報という業界紙に連載している4コマ『がんばれ猫山先生』の単行本1巻。昨年の10月に刊行されていたようですが、昨年末にNATROMさんが紹介してそこそこ知られているのかな?

オビには「『Dr.コトー診療所』の監修者茨木保氏のゆるゆるコミック第1巻出来!」とありますが、ぜんぜんゆるくありません。「がんばれアドミンくん」か、きたみりゅうじ氏のSE業界自虐ネタのまんが、みたいな感じと思っていただければそう外れてもいないと思いますが、オレが医療業界をまったく知らないからか、半笑いで凍りつくような自虐ネタが多すぎます。

過労死しても自分が死んでいることに気付かず幽霊になって診察をつづける蟻塚先生(79話、80話)も強烈といえば強烈ですが、やはりなんといってもこのまんがの影の主人公は奈良野シカオ先生について言及しないわけにはいきません。

主人公、猫山先生と同じ勤務先の病院で産婦人科部長をやっていたが病棟閉鎖で離職、開業医に。ところが開業準備は思ったよりずっとお金がかかるし、変な業者は寄ってくるし、開業してみれば患者がさっぱり来なくてガランとした待合室で「風邪でも流行らないかなあ……」などとつぶやく始末。これが1巻の後ろの方になると経営状況も悪化してどんどん大変になり、げっそりとやつれて精神的に参ってしまい、新聞の悲惨な事件を読んで心をなぐさめるように。作者も同じように産婦人科の勤務医で、このまんがを連載中に開業したということで、税理士に笑顔でヒドいことを言われるシリーズとか、実体験が籠もりすぎなエピソードもちらほら。

http://www.jmedj.co.jp/review/978-4-7849-4093-6review.htmlに作者インタビューがありますが、

>

『猫山先生』に描いている話の8割は実話です(笑)。 >

 例えば奈良野シカオ先生は、開業医としてボロボロになっていくという、ある意味私の別の姿。主人公は猫山先生ですが、なんだか奈良野先生の方にどんどん感情が入ってきてしまいますね。

などと語られています。

とにかく、このまんがを紹介している人は誰も彼も奈良野先生を取り上げていますが、どうしても言及しないわけにはいかないインパクトのあるキャラクター。がんばれ奈良野先生。

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