『ラースと、その彼女』
年が明けて最初に見た映画はこれでした。周りはカップルばかりがうようよしていてややげんなりしたぜ……。
それはさておき。
人付き合いは悪いが心優しい青年ラースが、唐突にリアルドールにビアンカと名付けて自分の彼女だと紹介。周囲の人間も最初は戸惑い、気味悪がっていたが、「彼と話を合わせた方が治るかもしれない」という医者の助言もあって、調子を合わせるようになり、やがてビアンカを一人の人間として扱うように……という粗筋からはあんまり想像できない(でも宣伝からは割と想像通りの)ハートウォーミングな物語。
設定だけなら、これが海外小説なら翻訳は岸本佐知子だな、と誰もが思うところですが、実際にはそういう話ではなく(ってどういう話かはさておき)、結局はラースには何かの心の病があって、その心の病から生じた妄想であり、治療されるべきものだと皆が心得ている。で、その心の病というのはつまるところ「人とうまく付き合えない」ことなわけ。したがってこの物語は、ようするにビアンカを通じていろんな人間と関わることで、ラースがそのような妄想を必要としない人間に「成長」していく、という方向にドライブしていくのだが、そういう話として回収されてしまうのはなにか違うんじゃないの、とオレはちょっと思わないでもない。
でも、人々がビアンカの存在を受け入れていく描写を見ているだけでも楽しいし、なによりその過程と、ラースが次第に周囲に心を開いていく過程がうまく同期して描かれているところが上手い。心を開きはじめたラースの葛藤がビアンカとの不和というかたちで表出したりするところとか。あとボウリングのシーンは印象深かった。
そんなわけで、わりと気に入りました。
あ、あとアニキが使ってる検索エンジンがask.comだった(ddi)。