Google Summer of Code について
もしあなたがプログラミングに興味のある学生なのであれば、 Google Summer of Code に参加してみることを強く勧めます。
Summer of Code については、いろいろと威勢のいい言葉が並びます。「昨年は 90 カ国以上 900 を越える学生のプロジェクトに Google は資金を提供し、何百万行ものコードをうみだしてもらいました。」とか、そういうやつ。しかし、まあ、そういう主張は自分たちの成果を大きく見せたい人たちの言葉であって、これから応募しようかと考えている学生にとって大きな意味があるわけじゃありません。忘れてしまってよいでしょう。
Summer of Code とは何かといえば、基本的には学生にオープンソース活動に参加してもらうきっかけを与えるためのものだ、といえばいいでしょう。誤解があるのではないかと危惧しているんですが、たとえば未踏プロジェクトみたいな、優れた人材を発掘して支援するといった「人材発掘」タイプのものではないんですよね。むしろ、学生の人たちに興味を持ってもらう、きっかけを与える、といった、ある種の「教育」がフォーカスされているように思ってます。
だから、 SoC を「腕自慢の学生たちが賞金を獲得する」ようなイメージで捉えていたとしたらそれはまったくのカンチガイです。誰でも応募していい。仮にあなたの実力とか時間とかが足りなくてプロジェクトが遂行できなかったら、それはあなたを選んでしまったメンターたちの責任であって、あなたの責任ではない。そもそも期間内に完成しなかったとしても、もともとオープンソースプロジェクトなんだし、そこは問題じゃないんですよね。開発を体験してもらいコミュニティを活性化させることが目的なので、だからもともとコミットメントの経験のない初めましての人ほどウェルカムなんじゃないかと思ってます。
さて、以上はメンター組織側の「うまみ」ですが、学生にも利益はあります。というのは金銭的な利益もありますが、むしろ開発に携わる経験の方が大きいですね。大学の授業やら課題やら、あるいは研究で必要なソフトウェアを作った経験というのも重要なんだけど、オープンソースソフトウェアの開発というのはまた違ったスタイルです。これはまた、一般的には会社での仕事とも違う……まあ、オープンソースソフトウェアが仕事という人もおりますが。ともあれ、いろんなスタイルを体験することはその人にある種の「厚み」を与えるし、陰に陽にその人に影響を与えるんじゃないかという気がします。
ちなみにわたしもかつて Summer of Code に採択された経験があります。そのとき応募した動機はごく単純に言えばお金だったわけですが(笑)、結果としてはあの経験は自分にとっても非常に大きかったと思います。開発プロセスそれ自体もともかく、英語でいろんなディスカッションをした経験が自分はあまりにも乏しかったので、そういう意味でもいい経験をさせてもらいました。なので、自分の母語が日本語だからといって日本人のメンターだけに注目するのはあまりにも勿体ないと思いますね。
で、見てみると投稿者数は29と少ないものの「申し込む開発ネタがなかった」というのが大きいと。うーむ、これはどうしたものか……。もし学生でそうなのだとしたらと思うと悩ましいですね。実際にはかなり多くの組織が、かなり多くのアイディアリストを設けていますので、興味のありそうなものをざっと見るだけでかなりいろいろ出てきそうだと思うんですが、それも人によるのかなあ。あるいは多すぎて探せないのか。
とりあえず自分の体験としては、面白げなアイディアをピックアップしてみるのがおすすめです。あと、人の少なそうな組織をターゲットにしてみるのもいいかも。鶏頭牛後といいますか、あんまり応募が多くなければそれだけ自分が採択される率も上がるし、やったことに対してもコミュニティから一目置かれやすいからね。