『校長先生になろう!』

This entry was posted by on Wednesday, 18 July, 2007

校長先生になろう!

カワバタさんが褒めてたので興味をもって買ってみた本。かなり面白かった。いや、そもそも校長になるのに教員免許が必要ないなんて知りませんでしたよ。

リクルートから校長に転身したという変わり種の校長先生の書いた「校長という仕事」の本。

この本が面白いのは、著者の視点が定まっていること、ビジョンを明確に語っていることだろうか。学校は、学校教育はどうあるべきかっていうのを物凄くはっきりと書いている。書いているなかには、いささか一方的にも見え、しかも生徒にはあまり好かれないような施策を選択しているようにも見えるんだけど(たとえばテレビの試聴時間は制限するべきだという話とかね)、ちゃんとそうである理由を明快に語っているので説得的。「学校を地域に開放するのではなく、学校を核に地域社会を再興する」というビジョンも面白い。

ただまあオレみたいに今さら中学校の教育にはそれほど興味のない身としては面白かったのは、校長の仕事をマネジメントと認識していることかな。「校長には事務屋さんや生活指導屋さんは多いけれども、マネジメント屋さんともいうべき経営者が少ない」。そういう状況をふまえて、校長に与えられたリソースが何で、著者はそれをどう活用してきたか、それはどういう意図があり、どういう効果を生んだか、ということがきちんと書いてある。

あーともちろん、ここで述べられてるマネジメントは校長という特殊な職業のマネジメントなので、仮にあなたが何かのマネージャだとしてもあなたの仕事の役には全く立たないことだけは請け合うが、本としては面白い。

難点。書籍の構成で気になったのは主張に繰り返し/重複が非常に多いこと。強調するために意図的に繰り返していたのかと思っていたら、奥付によればぜんぶで7つある章のうち5つは、ほかのところに掲載された記事とかの再録で、それが理由だろう。とはいえ、全体の半分弱を占めるのが書き下ろしのパートで、ここは108個の項目で著者がやってきた取り組みを説明し、分析するというところだから既読の人がいてもそれほど損した感覚はないんじゃないかな。

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