S-Fマガジン7月号
>太陽系探査SF特集。
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>ジェフリー・A・ランディス「
>青き深淵へ
>」
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>天王星の大気が液体になるあたりに生命らしき影が映った、という惑星探査もの。
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>読みどころは、半サイボーグ半パワードスーツな探査機の描写と、バディとの人間関係描写だろうか、と思いつつ、あまり読みどころが見あたらなかった。天王星の描写はさほどでも。
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>サラ・ゼッテル「
>暗黒のなかの見知らぬ他人
>」
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>7人の宇宙飛行士を乗せた小惑星探査機は深刻なトラブルに見舞われて帰還不能に陥った。ひとり、またひとりと自殺するクルー。それでもなお生きつづけるクルーたち。そこに突然、どこからか通信が入る……。
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>極限状態に陥った主人公の心理描写なのだろうか。しかし、基本的にこれでおしまいってのは小説として不完全なのではないかなあ。心理描写を主体とするのにしては、いろいろと弱いように思った。
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>ラリイ・ニーヴン「
>ロキ
>」
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>異形の惑星に住む「這うもの」たちは、「ウィッチワゴン」によって進化を促され、やがて文明が勃興する……というタイプの短編。
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>ニーヴンだとこんなもんかなあという感じなので、これが2000年だとやっぱりちょっと驚いてしまうが、それほどひどいわけでもないという感じ。
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>やはり、「太陽系探査SF」といういささか坐りの悪い区分にも苦慮したのかもしれないが、あまり楽しめない話になってしまった巻。「ええーそういう話で終わるんだ!?」的なものが多かった気がしました。
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>そんななか、アダム=トロイ・カストロとジェリイ・オルションの共作「ワイオミング生まれの宇宙飛行士」はめちゃくちゃ面白かったんですが、これは前後編の前編のみなので、来月に点数をつけるということになりそうです。
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>草上仁「
>アインシュタインが当たった
>」
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>草上らしいコミカルな短編なんだろうと読みはじめていたのだが、違った。読み進めるたびに少しずつ違う様が見えはじめる。そして――。
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>んー、うまく感想を書けないんですが、この夫婦の関係の描き方や結末などが良い。いつもと違ったテイストだけど、それも良かった。
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>朝松健『
>魔京
>』
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>また伝奇かよ! いいけど。
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>四年後に遷都が決定された東京では、無形文化保護委員会が立ち上がって、様々なものを記録しはじめている。主人公の神藤は宗教民族芸能の担当員。昭和20年2月3日以来舞われていないという秘神楽がふたたび舞われるというのでその記録に赴く。
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>……という粗筋紹介からすると、もっと一話完結的な断章の積み重ねで物語を進めるのかと思って読んでたのだが、最初からいきなり物語がドライヴするのでちょっとびっくりしたかも。
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>今のところは海のものとも山のものとも。
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>田中啓文『
>罪火大戦ジャン・ゴーレ
>』
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>意味もなく「蜘蛛の糸」ネタとかもあるけれども、今回の目玉は、ついに姿をあらわしたエゾゲバロ・ログロ人の描写の「これでもか」というくらいの気持ち悪い描写がSFマガジン三段組サイズで1ページほど(ふつうの文庫だと2〜3ページくらい)続くところでしょうか。食事中には読まれないことを推奨したい。
>+1
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>谷甲州『
>霊峰の門
>』
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>このタイトルでそれなのか……。
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>多聞丸の「現実」と「虚妄」、それに「前世の回想」が織り成し、ついでに夢枕獏とどっちがどっちだったか的なネタになってしまってもはや何が何だったかわからなくなりつつあります。これはイッキ読みしないとだめなのではないだろうか……。
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>今号のおまきゅーはヨイと思います。+1。水玉蛍之丞については、おれは野球を見ない(よく知らない)人間なので「いまさらそんなことを言われてもなあ」感。-1。SFマガジンギャラリー、今号も良かった。+2かなあ。
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