佐々木俊尚『グーグルGoogle 既存のビジネスを破壊する』

This entry was posted by on Thursday, 20 April, 2006
>『ウェブ進化論』をひきあいにした評価はいかがなものかと、この本のいろんな評を見ていて思ったのだが、確かに比較した方がわかりやすく書けると思うのでおれもそうすることにする。 > >べつに『ウェブ進化論』を貶す意図があるわけではないが、読むならこちらも併読するといい、というよく見る推薦は確かにあたっているように思った。もしどちらも未読でこれからどちらかを読むのだとすると、どちらかといえば本書の方を勧めたい。 > >『ウェブ進化論』は、言ってしまえばアジテーションの本だ。というと感じが悪いが、「こんな風に凄いんです」というのをわかりやすく伝える本である。そのホットな感じを伝えるために、意図的に「闇」の部分を省いた本なのだと思う。本書はもう少しジャーナリスティックに、いろんな面を見ている。6章ではいわゆるGoogle八分の問題なんかも論じていたり。 > >ただ、「闇の点が書かれているのが良い」というのは『ウェブ進化論』との比較としては良いのだけれども、本書単体の評価としては正当なものではないだろう。本書に述べられる、羽田の駐車場やメッキ工場の事例。Googleは既存のメディアの破壊者であり、あるいはすべてを司る司祭になると本書はいうが、同時に、既存のメディアが取りこぼしてきたものへの救済者でもある。そして、このふたつの側面は、どちらが正しくどちらが誤りなのではなく、表裏一体のものなのだろう。そのことを本書はうまく述べている。 > >『ウェブ進化論』にせよ本書『グーグル』にせよ、いま、ウェブ上でいろいろやられているこういう議論にちょっとでも興味があれば、基本的にはどれも耳にし、目にしたことのある程度の内容に過ぎない(個別事例の詳細はまた別であり、その「物語」は興味深く、また、読者にリアリティを伝えることに成功していると思う、が、それはまた別にして)。差があるとすると、『ウェブ進化論』は「したがってこれはオレ向けの本ではないのでオレはべつに読む必要のない」タイプの本であるのに対して、本書『グーグル』は「だからといって読む必要がないわけではなく、読むことで考えが整理される」タイプの本である。そう思った。 > > >

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