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→1999〜2005年の日記
2007-07-15(Sun)
_ [book][あ]伊井直行『濁った激流にかかる橋』
講談社 (2000/07)
売り上げランキング: 692356

世界のデフォルメのような街を舞台としたオムニバスストーリー
小説らしい小説世界で最大の鉄道自動車自転車歩行者併用橋なのだそうです。また世界で一番幅の広い橋とも構造の複雑な橋とも言われていますが、そんなことは毎日往復橋を渡っている私たちにとってはなんの意味もないことです。
対岸に通い始めたころ、この橋は、大きすぎて全体を見渡すことができない上に、刻一刻とその姿を変えるとらえどころのない怪物のように思えたものでした。(「濁った激流にかかる橋」)
祝!! 文庫化☆ すっごく面白い本なのに、分厚くてハードカバーで高くて絶版だったので(古書価はついていない。多分)、薦めやすくなって良かった!! 解説は笙野頼子。
読んだのは、2003年3月。
すんごく良かった! この人の本は純文学ということで、奥深くはあるけれども、ちっとも固くないし、難解でもない。物凄く丁寧でわかりやすく、かなりきちんとエンターテインメントしている。なのに、出版状況には非常に恵まれていないようだ(【bk1/amazon.co.jp】)。単著16件中、文庫は2冊だけだし、今買えるのはこの本と、恐らく同じ町を舞台にした最新刊『お母さんの恋人』のみ。あああ、なんて勿体無い! 少なくとも『濁流』は、和製SF好きにはかなりヒットする小説だと思うので、もっと読まれて欲しい……。
ある日突然小川が大河となり、二分されてしまった町で、ただ1本の橋を巡る人間模様。大河小説が、「一群の人々の歴史を、しばしば数世代にわたって、社会的背景から書いた大規模な小説。(広辞苑第4版)」ということなら、洒落でもなく文字通りまさにそれ。かつて穏やかな小川だった流れが、突如激流に変わり、60年後再び海からの逆流に見まわれるまでを9篇の短篇でつづったスラップスティックセンチメンタル大河らぶ浪漫。
短篇は、それぞれ文体も雰囲気もまるで違っていて、佐藤哲也『沢蟹まけると意志の力』を連想させる冗長文体の自転車通勤アクションから、田舎の幼い恋物語、エキセントリックなラブレター、幽霊物やら何やら。独立した短篇としても面白く、ほぼ外れなしの出来なので、まるで飽きることはない。読み進むうちに、別の短篇で描かれたささいな出来事が、「蝶の羽ばたき」のように、思わぬところに影響を及ぼしたりしていて、みるみる物語の世界が濃密になり、広がりを増していき、ラストで一気にカタルシスをむかえる……というのは、本当にこの手の連作短篇の醍醐味だよなあ。
提示される風景は、一見非常にシュールなものが多い。どんどん増築されていったために、迷路のように複雑怪奇で、一向に全体像が見えない橋の光景自体、想像するとかなりマンガチック(アニメ『うる星やつら』的イメージが)。登場人物も、額が異常に広くて後頭部が後ろに張り出しているさいづち頭の一族、川辺の掘建て小屋地区で踊る母、恋愛妄想に取りつかれた女性だとか、おかしな人に事欠かない。
おかしみと真面目さのさじ加減が絶妙で、風景の見せ方が物凄く上手く、短篇ごとに印象的な光景がきちんと読み手の心に刻まれる。でも、その風景は、物語世界を規定するための秩序だったものではない。一人一人が勝手気ままに生きていて、物語はただそれを記述しているだけ。物語が「主張」することはない。時間の流れも明確には記述されておらず(自ずと推測できる)、同じ苗字だからといって必ずしも同一人物とは限らず(田舎だから)、きっちり組み合う事のないパズルの欠けた空間の深みが、物語に立体感と大きさを与えることに成功している。
そうして、ラストには、思い出のアルバムを一気にめくったときのように、時の流れの残酷さの中に、揺らがない人の思いの強さに打ちのめされるのだ。川は激しく流れるけれど、橋は決して流される事なく、果てしなく複雑に成長し続けて、今もそこに架かっている。毎日毎日、右岸と左岸に沢山の人を渡しながら。
_ [book][あ]伊井直行『お母さんの恋人』
講談社 (2003/04)
売り上げランキング: 283819

読み手を選ぶ作家かな
そして、そのココロは?
ひょうひょうとした文体で綴る青春記お母さんとお父さんが出会ったとき、お母さんは三十六歳だった。お母さんはわたしを産んだ後、三十八歳で亡くなった。
お父さんには、物心がつく前から知り合いだった長いつきあいの友人がいる。二人は幼稚園から高校まで同じ学校に通った。お父さんとその友人は、市を二分する激流の川にかかる橋のたもとでお母さんとすれちがう。
二人は十七歳だった。
読んだのは、2004年3月。
Webで検索すると、すごいネタバレにひっかかりますので、読むつもりの方は、決して検索しないでください。
舞台は、『濁った激流にかかる橋』のあの町だ。
『濁流』のような短編連作形式ではなく、単独の中篇小説。語り手となるのは、登場人物に「お母さん」「お父さん」と呼びかける、これから生まれてくる、まだ存在しない「娘」。この「町」自体の「魔力」は、あいかわらず健在で、どことなく不思議でリアルな雰囲気が、作品全体に漂っている。
36歳の未婚の女性。都会からUターンしてきて、実家の英会話教室の経営に携わっている。一見都会的な美人で、仕事もできるのだが、その実、一生の2/3を眠りに費やす「ヤマネ」に憧れる眠たい女性である。そんな彼女に、彼女いない暦=年齢=17歳の高校生、磯谷君が一目惚れするところから、ドラマが始まる。
その後、彼女を軸にして、磯谷と、その親友・大島、その恋人・中子、さらに彼女の不倫相手とその妻、そしてその連れ子の、複雑怪奇な多角関係がどばっと広がり、ぐるんと転回し、ぎりぎりまで緊張したかと思うと、ぷつんと糸が切れることによって拡散する。あらすじだとそんな話なんだけど、多角関係は点と点の線的な繋がりであり、決して面にならないところに、この人の群像劇の上手さがあるというか。パッション炸裂の高校生と、しがらみにまみれた「大人」が織り成す奇妙な図形。
それぞれのキャラクターが、友情や愛情や思いやりや裏切りなどを含みつつも、ばらばらな思惑によって行動し、行動が感情を揺さぶり、物語を自然に転がしていく展開がものすごく心地よい。みんなが本当に真剣だから。登場人物たちは、色々な場面で、色々な人物と接触し、すれ違う。視点人物はたえず移り変わりながら、それぞれのキャラクターを多角的に活写していて、それが本当に鮮やか。
さらに、町。やっぱり町。町を豊かな右岸と、貧しい左岸に隔てて流れる川、それをつなぐたった1本の橋。さびれつつある地方の郊外にある市の様子はリアルで懐かしい。『濁った激流にかかる橋』では主役だったこの「町」は、この物語では、舞台背景以上の描写はされていないけれども、きっちり渋くて存在感のある脇役的風味を見せているのがさすが。
とにかくまあ、小品なのに、すごい迫力。17歳と36歳の恋愛?が、どうして冒頭の文章のような展開に行きつくのか……。検索なんぞせずに、手にとって多くの人に読んでもらいたい! 酷く残酷な物語なのに、これほどまでに読了感がさわやかなのはなぜだ?
この町のシリーズで、また書いて欲しいんだけど、『濁流』も既に入手困難だから、それは無理かなあ……。惜し過ぎる……。→2007年講談社文庫で復刊。
ところで、このお話の脳内挿絵は、なぜか手塚治虫でした。はまりすぎ。
2007-07-14(Sat)
_ [anime][movie]アニメ『時をかける少女』
売り上げランキング: 190

青春を描いたアニメの最高の到達点
普通に感動!
待ってられない、未来がある!
今度、21日にフジテレビで放映されるらしい。見たのは、去年の夏だったけど、そういえば感想をこちらにあげてなかったわ、ということで、今更あげてみるのであった。
最初は、あの無法な自転車の乗り方がひっかかってどうしようもなかったりしたのだが、いろいろ考えているうちに、未来人激萌えになってしまった……。せつな過ぎる。
結局、映画は一度しか見られなかったので、今度は未来人視点で見てみたいものです。はい。
以下、ネタバレメモ。
角川書店 (2006/05/25)
売り上げランキング: 798

少女時代の“魔女おばさん”に何が起こったか? 永遠のジュブナイル。
筒井のどたばたSFファンとしては
映画を見た後買いに走った。角川書店 (2006/07)
売り上げランキング: 5782

仲 里依紗ファンにもぜひ!
新たな『時かけ』に出逢えた、2006年の夏を忘れないために。
みんな変わらぬ思いを持っていたスタイル (2006/07)
売り上げランキング: 55663

面白かった。
現在最高峰の絵コンテの一つ
どこ目線だよ!?というツッコミは禁止の方向で・・・2007-07-09(Mon)
_ [movie]『キサラギ』
突然自殺を遂げたB(C?D?)級アイドルのファン5人が、一周忌に集まって追悼オフを開く。初対面のファン同士の会話は思わぬ方向に進み……。
以降はまさに「何を言ってもネタバレ」なので書けませんが。
いやあ、これは、ものすごーーーーーーーく良いですよ!! お手洗いで、年配の女性二人がお化粧をなおしながら、「笑いに来たのに……」と言っておられました。私もまさかこんな気持ちになるとは思わなかった。
リアリティのあるテンポで繰り出される何気ない会話が、後々に伏線として回収されていく。それも、見ている者の予想を、いい意味で裏切る形で。ほとんど前情報なしで(↑上記あらすじと、評判の良さぐらい)見てよかった。
実は、時間と上映館をちょっと勘違いしていて、15分遅れ(自己紹介のくだり)で入ったこともあり、2回目の冒頭もちょっと見れたのも結果的には収穫。カメラアングルとか(人の頭越しに、「2回目には絶対に注目したい人」の目から上だけが画面に映っているとか)、本当にきちんと作っている映画でした。
それから、私としては、これだけの脚本のラストが、ああいう形だったことを、すごーーーく評価したい。うんうん。
ランダムハウス講談社 (2007/06/01)
売り上げランキング: 2912
扶桑社 (2007/05)
売り上げランキング: 6441
2007-07-07(Sat)
_ [cycle][food]オーベストサイクリング会&瀬音の湯&大多摩ハム
オーベストののサイクリング会は「あじさい山」。拝島橋からくねくねと農道を伝って行くのだが、道が細かったり、ダートだったりして、とても神経を消耗する。ところどころ突然激坂があったりして、体力的にも結構へとへと。山の入り口にたどり着く前に足が売り切れ状態だったのだが、山についてみると、JRのハイキングか何かで、ハイカーが山道にあふれている状態。このまま山に登るのは無理と判断して、横道を登って行ったのだが、これがすぐに終了。結局川原に戻って、近くの売店でアイスを買ったりして、おしまい。
多摩川に帰る人たちと別れて、マさんとまさんと一緒に、瀬音の湯。この露天風呂が、大きくて、森に向かってかけ流し状態。ちょうど振り出した小雨が気持ちよくて、われわれにしては珍しく長湯してしまった。
雨もちょうどやんでいたので、お昼ご飯。ちょっと前に検索して気になっていた、福生のソーセージ工場のレストランへGO!!
3人ともソーセージランチ(945円)。スープ、サラダ、本日のソーセージ、ライスまたはパン、コーヒー、または紅茶付き。
ベーコンがスパイシーでイイ!! ちょっとしょっぱいので、パン(これも小麦の香りがしてとてもおいしい!!)にはさんで食べてちょうどいい感じ。見た目は少なそうだけど、一通り食べたら結構おなかがいっぱいになってしまうボリューム。さらにケーキも頼んで、ご馳走様。
ランチでも事前に頼めば、ドイツ鍋とかアイスバインの料理も出してくれるみたい。ここはいい。
工場なので、当然ソーセージの販売もやっていて、当然買うわけですが。
……、さっきおろしたお金がないよ!? 封筒に入れていたのに。ウエパー資金も兼ねていたので、5万円は、私にしては結構高額。しかもカードと一緒に……。
大慌てで、ATMがあったコンビニを地図を頼りにITPで検索。電話したところ「あ、届いてますよ〜。店の前に落ちていたのを拾ってくれた人がいました」とのこと。あー、良かった。しかし何たるドジ!!!!!!!
そんなわけで、7km五日市街道を行って戻って……。つきあってくれたお二方には申し訳ない。ありがとう。とほほ〜。そして拾ってくれた人に感謝。私もペイフォワードするよ!!
帰りは睦橋から多摩川。そんなこんなで、150km弱。疲れた〜。でも、この距離にしては、肩の疲れが異常に重い……。あじさい山行きで、慣れないダンシングを積極的にしたからか? すごい筋トレだもんなあ……。










_ にじむ [ざぼんさんが教えてくれたんですよね、『お母さんの恋人』。 この人の本は、昨年『青猫家族輾転録』(新潮社)が、今年は..]