twitterでドクトロウ自身がつぶやいて曰く、Little Brotherは早川書房に売れたとのこと。これで17言語で出版される本になったと。
Little Brotherについての詳細についてはyomoyomoさんが書いているので細かいところは省くが、テロの恐怖から第二愛国法が制定され、人々の自由が奪われつつあるところに敢然と立ち向かう14歳の少年ハッカーの活動を描いたジュブナイル。ブルース・シュナイアーが解説を書いているのも特徴。とはいえ、自分自身の感想を読み返してみてもあまり褒めていない(笑)。正直に言ってそこまでの傑作だとは思わず、シュナイアーの一般啓蒙書(具体的には『セキュリティはなぜ破られたか』)への導入といった意味合いが強い気がする。個人的には、国家体制による抑圧ではなくてみんなが互いに自主的な監視・検閲するみたいな方向性をタイトルから想像していたので、そこがちょっと残念だと感じていた。ただ、合衆国憲法を引くところなど要所要所でぐっとくるパートがあって決して悪くはない。ジャンルとしてはジュブナイルということになるが、大人が読んでも楽しめる佳作だと思う。
ドクトロウは第1長編『マジック・キングダムで落ちぶれて』が早川から出ていたが、これがさっぱり売れなかったらしく、今後ドクトロウの小説が紹介されることはあまりないだろうなあと個人的には考えていた。アスキーなどから突然出る可能性もあるかとは思っていたが、早川からはもう無理かなと。なので早川が権利を買ったというのは嬉しい驚きでもあり、ただその一方で不安でもある。
『マジック・キングダムで落ちぶれて』は、基本的にはBoing Boingの著者であるところのあのドクトロウとの結びつきが弱くかった。つまり、そちらへあまり訴求しない売り方がされてきた。それで売れれば良かったんだけどそうでもなかった上に、「そっちのドクトロウ」に興味のある人たちには発見されづらかったというのが不幸だったのではないかと思っている。今回はテーマがまさにテーマだし、そういうことに興味を持っている人に届き、売れるべくして売れるといいなぁと本当に思います。そして願わくば俺の好きな方も出て欲しいなと。
(ベントラーベントラー 2
/ ベントラーベントラー 1
)
地球外からの来訪者への対処を行う「外星課」のゆるーい活躍(?)をゆるく描いた独特のテイストのまんがの2作目。前巻の紹介はしてなかったかな。地球外からエイリアンが日常生活にうろついているちょっと未来が舞台で、外星人たちの起こすトラブルを解決する(ことになっている)首都圏民営警察外星生物対策課たちがいろんなエイリアンに遭遇するという一話完結型のシリーズ。
対策といっても外星人たちの能力はオーバーテクノロジーなため、人間は基本的になんにもできない。なんとなくそういう変なものに居合わせてあんまり活躍できない、妙に日常的なテイストがけっこう癖になります。
2巻は、重力軽減作用をおよぼす謎の飛行物体が飛来したり、外星人に作られたアンドロイドが発見されたり、外星生物を銃で撃ち殺して回る不審な二人組がいたり……ただ、1巻が完全に一話完結だったのに対して、だんだん外枠となる話がつくられてきたかな。今後も楽しみ。
それはそれとして今回ちょっと「おッ」って思ったのは、89ページ、ワイアット君がボイジャーを発見するくだりで “TANJI…” ってつぶやいているところ。これはたぶんラリー・ニーヴンが彼の著作で使っていた悪態語 TANJ のことですね。There ain’t no justice の略。『リングワールド』では訳者の小隅黎はこれを「神も仏もないものか」略して「カホナ」という略語にしたといういわくつきのものです。作者、ニーヴンが好きなのかな。
(真・女神転生 STRANGE JOURNEY
)
5つ目のエリアの途中での所感ですが、なんか世界樹っぽい。上にメイン画面、下に地図というレイアウトからか? オートマッピングなので地図部分の操作は基本的にはできないのだが、見た目というかなんというか、全般的に似てる感じ。
例によって戦闘はシビアといえばシビアだが、いきなり反射されて全滅とか、ムド食らっていきなり終了みたいなひどいことはあまり発生していなくて、そういう意味では少しぬるめな印象。その一方、初めて遭遇した敵は倒すまで名前すら分からない(外見も隠されている)という状況はかなりドキドキする。
攻撃はCO-OPシステムってのがあって、敵の弱点を突くと同属性(LOW-NEUTRAL-CHAOSのレベルで一致している)の味方が自動的に追撃してくれるシステムがあり、これがめちゃくちゃ強い。というか基本的に弱点をついてCO-OPが戦闘の基本方針になる。その意味では単調な感じもあるが、パーティ編成も含めて考えないといけないことは結構多いので遊びがいはあるとも言える。悪魔合体もなんとなく強さや攻撃パターンだけではなく属性が重要なので、あんまり深く考えずに合体させてる俺みたいなライトプレイヤーには案外と面倒だ。
そういう事情だからかどうかは知らないが、主人公の属性はかなりころころ変化する。そのたびにパーティを揃え直さないといけないのが若干面倒なのだが、今回は一度仲魔にしたことのある悪魔はマッカを払えばまた仲魔のスロットに持ってくることができる便利仕様なのでさほど問題ない様子。そもそも邪教の館的なものもなく、いつでもどこでもステータス画面から悪魔合体ができるため、悪魔合体関係はお手軽感が強い感じ。
シナリオは正直いって面白みがない。なんかちょっと淡々としすぎているような……。
まあしょぼしょぼと進めて行きます。

京都SFフェスティバルに行ってきた。今年も前日より休みをとって京都入りし、ホテルに泊まって万全の体制で臨む……つもりであったが、例によって前泊組などでKEGで飲んでいたのですっかり寝不足&宿酔になってしまった。
1コマ目のベイリー追悼は大森望、大野万紀、山本弘の3人による追悼企画。「打ち合わせをしていない」という通り、微妙な間があったりもしたが、ベイリーの奇妙さを讃える好企画であったと思う。ところで企画では「本気だかネタだか分からない」とか「トンデモすれすれ」とか言われていたベイリーのアイディアだが、個人的にはアレはやっぱり基本的に本気だったんではないかと思っていたり。トンデモさんであっても小説としてずば抜けていれば評価されるのだ、ということではないかなあ(ヤクーザ・ボンズとかの妙なオリエンタル趣味はどこまでマジだったのかわからんけど……)。
2コマ目の円城塔・新城カズマ対談のときに眠気はピークに達し、ついに寝てしまった。おかげで宿酔は抜けたのだが、全然聞けなかった。断片的には聞こえていたが、エルフ語のゴッドファーザーとはしかし、なんだろう。
3コマ目の岸本佐知子インタビューは、なぜかインタビュアーが国書刊行会の樽本周馬。樽本さん、別に岸本さんの本を編集したことはないはずだが……ともあれ、これは岸本佐知子の面白さが存分に発揮されむちゃくちゃ面白かった。SFとは微塵も関係なく、国書刊行会伝説や編集者のすごい話を話しているパートは長かったけれども。岸本佐知子は初めて実物を見たが、榎本俊二『思ってたよりフツーですね』に出てくるイメージそのままであり、見ながら「ああこの人であれば好きな映画は『あずみ』だとか平然とのたまい、周囲を混乱の渦に巻き込むであろう」と深い納得を得たことであった。
4コマ目《想像力の文学》企画。出演の遠藤徹はあんな作品を書いているわりには、極めて人当たりのいい好人物といった印象でちょっと驚いた。一方の平山瑞穂は作品からイメージしづらい人だけど、なるほど、という感じではあった。想像力の文学という掴み所のないシリーズに対しては、微妙に焦らすような司会をする塩澤編集長は実に適任。遠藤さん、平山さんという二人のデビューまでの話を掘り起こしつつ、間接的に想像力の文学というものの位置づけを行ってなんとなく観客に納得させるのだが、肝心なところを自分で明言するのはうまく避けていた。
というように、今年はどれも好企画だった(寝てた2コマ目についてはようわからんけど、少なくとも私の周囲の反応はすこぶる良い)。観客も多く大盛況と言っていい状態だった。
合宿。
1コマ目は未来の文学の話を聞いてきた。第3期はダールグレンから始まる。予定は来年春ということ。ダールグレンはかなり最後まで訳されている(全800ページぐらいのうち720ページぐらい)のでそのぐらいには出るのではという感じだそう。ヴァンス、エリスンあたりがそれに続くらしい。個人的にはヴァンスを待ってるので、ダールグレンが遅れるようなら先にヴァンスを出して欲しいなあ。なお、スラデックは出ないらしい。
2コマ目はペンギン・サマーの企画へ。『ペンギン・サマー』は大森望の帯と知り合いが編集したということで半ば記念品のつもりで買ったが、読んでみたら面白く読めたので聞きに行ったのだが、考えてみると作品としては全て読者に明かされているわけで、改めて語り起こすところがあまりない気がした。途中で抜ける。
3コマ目は狂乱西葛西日記20世紀remix刊行記念の昔語りの部屋。どういう昔語りになるかと思って見に行ったが、実際に狂乱西葛西日記の冒頭から順番に見て当時のことを昔語りするというマターリ企画。途中で抜ける。
4コマ目は日本SFアンソロジー企画。大森さんが今度やるというNovaというアンソロジーの話を聞こうと思って行ったのだが、リストが配られたあとは主に年間SF傑作撰の作品選択の話、というか京大SF研現役の某氏が勝手に選んだリストを見ながらどういう意図なのか、どういう作品なのかを大森・小浜ペアが聞くというスタイルの企画に。途中で抜ける。
というわけで途中で抜けてばっかりで、そうなれば大広間でだらだらと過ごすといったことになるわけであり、自分もSFゴロ化しつつあると危機感を覚えつつある。もうちょっとどうにかした方がいい。事前の準備とか、コンディションの調整とか、自己紹介のときの言葉とか、いろいろ駄目な感じ。
今年の京フェスは非常に楽しかったのだと思うのだが、個人的な事情の方は反省点が多く、もうちょっと考えた方がいいと思ったのだった。
http://bb.watch.impress.co.jp/docs/news/20091007_320123.html
かと思ったんですが、そーーーーでもないっぽいすね。
あ、書いてなかったかと思いますが、少し前にKindle DXを入手しまして、fictionwiseとかPragmatic Bookshelfで本や雑誌を買っていて、これはなかなかいいものだと思っていたのです。今回の件では、amazon.comで日本のクレジットカードから普通に本が買えるようになるとのことで、逆に大歓迎かも。
今回は、単にアメリカのamazon.comがKindleを各地に販売するようにした、というだけで中身は変わらないのではないかと思います。そういう前提で、私がここ最近、使ってみた感じを書いてみようと思います。
日本語の本を表示出来るか、というのはたぶん多くの人が気になるところではないかと思います。PDFの場合は可能です。というか可能な場合があります。Kindle DXという私が持ってる最上位機種はPDFを直接閲覧可能ですが、それ以外の機種の場合、オンラインサービスで変換しないといけないようです。後述するように、変換したらだめなので、Kindle DXでないといけません。ただ、普通のPDFの日本語はやっぱりKindle DXでも閲覧できません。PDFはフォントのデータをファイル内に埋め込むことができるんですが、そうしている場合は日本語でも何語でも表示できます。表示はかなりクリアで綺麗です。
ただ、PDF自体がKindleからするとやっぱりちょっと機能的に弱い。ほかのKindle形式(.mobi)の方が本当は良いです。しかし、そっちの場合にはたぶん日本語は表示できません。
本自体はamazonで買えるほか、上に書いたようなUSでオンラインで電子データを販売しているサイトではけっこうサポートされていてダウンロード購入が可能です。KindleをUSBでつなげばこういうダウンロードしたデータもKindle経由で閲覧できます(KindleはUSBストレージとして認識されるので、Windows/Mac/Linuxどれでもたぶん大丈夫)。
検索は付属するキーボードでやりますが、これは正直しょぼい。ぶっちゃけまだあまり検索したことはありません。これも、日本語化するのは相当大変なんで、実現は当分先になるかと思われます。
おっと欠点ばかり書いてしまったかな。美点は幾つもあります。たとえば電子ペーパーの表示はかなり精細で見やすい。バックライトもないので目も疲れない。これは良いです。画面の切り替わりは若干遅いですが、普通に読んでいるときにはあまり気にならないレベル。ページをいっぺんにめくりたいときにはちょっと気になることもあるかも。
もうひとつ凄くいいのは、Oxford辞書が最初から入っていることで、カーソルを動かして単語のところに合わせると、その単語の意味を軽く表示してくれる。英語が苦手な人間にはありがたい。
重量は、「重い」っていう人もいるみたいですが私はぜんぜん軽いと思いますね。単行本て案外重いしかさばるでしょう。文庫や新書や薄い本よりは重いですけど、専門書よりは軽いしかさばらないからいいと思いますね。
そしてやっぱりこれはすごいな、と思ったのは「読もうかな」と思った瞬間に読み始められるってことです。
言葉に出してみると、これは実に当たり前のことなんですよ。でも考えてみると、特に洋書というのは、これまではamazonで見つけて買っても、手元に届くのは数週間先なんです。今日たまたまamazonから本が届きましたけど、これはパオロ・バチガルピの “Windup Girl” という新作長編。これを注文したのって1ヶ月くらい前、バチガルピが来日してたときなんです。もちろん、amazon以前はもっともっとずっと大変だったわけで。
でもたとえばこないだの連休中ふと暇になりましてね、「そういやちょっとscalaでも再入門してみようかな。本でも買うか」と思いまして、Programming ScalaをKindle形式でダウンロードして、その場で読み始められた。これはすごいことだな、当たり前っちゃ当たり前なんだけどこれはすごいな、と実感しました。
てことでKindleはいいですよ。まだまだ万人におすすめのものではありませんが(なにより、やっぱり電子ブックになっているものの種類が少なすぎる)、面白いですね。
http://d.hatena.ne.jp/amachang/20091006/1254823331
いろいろ熱い意見を書いている人間がいるが、個人的な体験から書かせてもらえれば実名で活動していていいことなんてこれまで一つもなかったし、これからも一つもないだろう。おそらくほとんどの場合にはハンドル名であれば事足りたはずだ。
そもそも大元の話からして、実名である利点を説明しきれていない。言っていることを要約すれば「ネット上での活動をリアルとつなげた方が面白い」ってことになる。それってつまりネット上で知り合った人と直にあったり、俺のカーチャンがこの日記を読んでたり(実話)、そういうことであって、それと実名かどうかは実はあまり関係ない。だって俺、amachangの本名しらないもん。天野某ということぐらいは覚えているが、あまり縁が無いので見た端から忘れてしまう。でも、何かのイベントで発表してたのは知ってるので、おぼろげに顔ぐらいはわかってる。そっちの方が重要なんすよ。
でもって、俺は記名するということによるメリットも実際どんなもんだろうと思っている。名前があるから複数のトピックにわたって考えを追うことができる、建設的な議論ができる、だって……? fjでもどこでも、記名であることが建設的であることを保証しない反例は沢山ある。2chからは匿名であっても建設的な議論が成立する事例をたくさん集められるだろう。それで?
俺はこういう活動をしてきて「楽しい」って思ってる。「ホームページ」を開設当初から友達にその存在は伝えているが、日記でなにか書くと実際に知り合いから反応があるってのは結構楽しいものだ(っていうかソーシャルメディアの楽しさは基本的にはそういうものであろう)。これは匿名では中々味わえない楽しさではないかと思う。
でもまぁその程度ではないかと思うなぁ。
連休中ぐらいから、軽く遊んでいたので簡単にメモ。
Chrome extensions は Google Chrome の機能をユーザ側で拡張する仕組み。HTML/Javascriptで書けるのでお手軽。だが、けっこういろんなことができる。
Chrome extensionsを書くのには、基本的なHTML/Javascriptの知識があればいい。いくつかのHTMLファイル、Javascript、各種画像なんかをまとめておけばok。すべてのextensionにはmanifest.jsonというファイルがあり、このファイルにメタ情報(パッケージ名、バージョン、説明など)とファイル構成を記述する。
大雑把にいって、extensionの機能は3つのパートに分かれる。
「toolstrip」は、ウィンドウ下部のステータスバーの位置に用意されたエリアに表示するもの。基本的には指定したHTMLファイルを読み込んで表示する。Javascriptを使って動的にメッセージを変更させたりするのが基本。このエリアは常に表示されるから、あまり広くとらないように注意しないとほかのextensionに迷惑をかけるし、逆にいうと常に表示させておきたいデータを載せる。gmailの未読件数を出すとか、そういう系だね。
「page action」はロケーションバー(オムニボックス)の右はじに出てくる画像。画像ファイルとクリック時のアクションをmanifest.jsonで登録しておく。ちなみにMac版Chromeだとまだ動作しないっぽい(画像が表示されない)。RSS配信しているページの場合に例のアイコンを表示して、クリックしたら購読する、みたいな使い方ができる。
最後に「content script」は、ロードされたページに対して動作するJavascriptで、これがほぼgreasemonkeyに対応するといっていい(細部は若干異なる)。content scriptはページのDOMを触ることはできるが、それ以外のアクセスは制限されており、様々な手段で抜け穴を掘ってあげないといけないが、抜け穴の作り方はgreasemonkeyとは異なる。また、content scriptはtoolstripなどと通信できるのもポイントで、たとえばページ内でbit.lyのアンカーをホバーすると、そのURLを調べてリダイレクト先のURLをtoolstripに送り、表示するといったことができる。
単にJavaScriptというだけではなくて、manifestに記載しておけばcross-originでXMLHttpRequestも投げられるようになるし、タブやウィンドウ、ブックマークあたりの操作用APIも準備されている。どうしてもという場合はNPAPIを使えば任意のバイナリを実行できるだろう(試してないので詳細は分からないが)。
ただ、extensionにはデータの保存に関するAPIがない。つまり、拡張機能はインストールするかしないかだけで細かいユーザ設定を保存できない……と思いきや、Chromeにはlocal storageがあるので、toolstripやbackgroundファイルのlocal storageを使って保存できるのだった。extensionごとに異なるoriginが割り当てられるので、local storageもextensionごとに存在する。
ちなみにMac版のchromeはextensionを作ってもpackingができない(ボタンはあるのだが押しても何も効果はないし、無理矢理コマンドライン引数を渡して実行したらunimplementedなエラーになってしまった)。実行時にload unpacked extension…でロードすると、次に起動したときに消えてしまう。この辺早く実装されないかなー。
ところでオリンピックに対する投票では早々に東京は敗退したようで、まずはめでたい。万が一どうかなってしまったらどうしようかと思った。それにしても、みなさんどこまで本気だったんですかね。
で、このオリンピック開催地を決めるための投票方式がなんだかややこしいのだそうでなにかと思えば、各委員が投票を行い、最下位を落としてまた投票、ってのをどれかが過半数をとるまで繰り返すのだそうな。これってなにか名前のついた方法なのか、また、どういう特性のある方法なんだろうか。比較的公平にも見えるが……。
これで思い出したのはヒューゴー賞の投票方式だ。ヒューゴー賞はアメリカのSFファンたちがファン投票で選ぶ賞で、日本にも星雲賞という類似の賞があるのだが、投票方式はぜんぜん違う。星雲賞は単に各ファンはひとり一作品に対して一票を投票し、票が一番多い作品が勝つというごく普通のもの。ところが、ヒューゴー賞は今はこのオリンピック決定と同じような投票方式に従っている。
ただ、ヒューゴー賞の方が若干ややこしい。なぜかという理由は2つあり、ひとつは投票権を持っている人間は数千人もいるっていうこと(投票率は相当低いが、それでも1000票は超える)、もうひとつは、投票は事前に行っておく必要があるが、発表はワールドコン(世界SF大会)の会場でやらないといけないという事情による。つまり、投票が終わったあとで「過半数はありませんでした。最下位はこれこれなので、これに投票した人は再投票してください」とは言えないわけ。
まず、各ファンは5つ挙げられたノミネーションの順番を投票する。作品Aが1位、Cが2位…みたいな感じで全部順序をつける。でも最初の投票では1位の票しか使わない。この時点でどれかが過半数であればその作品の勝ち。で、そうじゃない場合は得票数が最下位となる作品が消える。そして、最下位に投票した票の2位の作品に票を振り分け直す。この時点でどれかが過半数だったらその作品の勝ちだが、そうでなければさらに最下位の作品が消える。そして、その最下位(=下から二番目の作品)に投票した票については、2位だか3位だか、次の優先順位の作品に票を振り替える……ということを繰り返してどれかが過半数になる(か、該当作なしが過半数になる)まで繰り返す。
書いていてもこんがらがってきましたが大丈夫ですか。つまるところオリンピックと方式は一緒なわけだが、最初の投票のときに「もし自分が最下位に投票してしまった場合はこれこれ、それが最下位だった場合は……」っていうのを予め意思表明しておく、ということだ。それにしても投票者もとにかく面倒だし集計するだけで悪夢だろう。ヒューゴー賞は部門の数も半端なく(14ある)、ベスト編集者短編部門のように「そんなの知るか」としか言いようがない部門がかなりある。そんななかで毎年きちんと賞が出るのも偉いもんだ。まぁ、自分にとって詳しくない部門については該当作なしではなく、単に棄権を選ぶのだろうけれどそれにしてもなー。
ちなみに、ヒューゴー賞の公式サイトや各種のSF賞関連のサイトでは最終結果しか載せていないが、ワールドコンに行けばどういう票の推移で勝ったのかということが記載されたビラが配られる。といっても数字だけなので何がなにやらという感じではあるが。